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補助金でホームページは作れる?公募要領で確認した本当の線引き

こんにちは、コマルです。「デジタル化・AI導入補助金を使って、ホームページを作れませんか?」——ご相談でいちばんよく聞かれる質問のひとつです。

ネット上には「使える」「使えない」の両方の情報があって、正直わかりにくい。そこで今回は、事務局が公開している公募要領とITツール登録要領の条文を直接読んで、どこまでが対象なのかを確かめました。物知り猫のタイガーと好奇心旺盛なマルが、条文をたどりながら整理します。

この記事は2026年7月19日時点の公募要領(通常枠)・ITツール登録要領にもとづいています。制度は改定が多いため、申請前に必ず公式サイトで最新の要領をご確認ください。

結論:「作ってもらう費用」は対象になりません

先に答えを言います。ホームページの制作を発注して、その制作費を補助してもらう——これはできません。

マル

ねえタイガー、補助金でホームページを作りたいってよく聞くけど、あれって本当にできるの?

タイガー

結論から言うと、「作ってもらう費用」は対象にならないんだ。これは制度の一番おおもとの決まりから来ているよ。

マル

おおもとの決まり?

タイガー

公募要領にこう書いてあるんだ。補助対象になるのは「IT導入支援事業者が提供し、あらかじめ事務局に登録されたITツールの導入費用」だ、と。つまりお金が出るのはすでに登録されている"道具"を導入する費用であって、"作ってもらう作業"の費用じゃないんだよ。

マル

じゃあ、そもそも土俵が違うんだ……。

タイガー

そのとおり。ここを取り違えたまま「補助金で作れますよ」という営業を受けてしまう人が、けっこういるんだ。
× 対象にならない作ってもらう費用
  • サイトの制作を発注
  • デザイン・追加開発
  • 広告宣伝に類するもの
対象になりうる完成した道具を導入する費用
  • 登録済みのITツール
  • 追加開発を含まない製品
  • 業務プロセスを担う機能
1補助対象は「作ってもらう費用」ではなく「完成した道具を導入する費用」。制度の入口がそもそも違う。

ここまでのまとめ

  • 補助対象は「事務局に登録されたITツールの導入費用」(公募要領 2-2)
  • 制作を発注する費用(受託制作費)は、そもそも制度の対象ではない
  • 「補助金でホームページを作れます」という説明には注意が必要

よくある誤解:「コーポレートサイトは対象外」と書いてあるわけではない

ここで、ひとつ誤解を解いておきます。

マル

「コーポレートサイトは対象外」って書いてある記事を見たんだけど、あれは?

タイガー

実は、そういう条文は存在しないんだ。要領を最後まで読んでも、「コーポレートサイトはダメ」「ECサイトならいい」みたいな、サイトの名称や用途で線を引いた記述はどこにも出てこない。「制作ツール」というくくりは条文にあるけど、"どんなサイトか"では判定していないんだ。

マル

えっ、じゃああの説明はなんだったの?

タイガー

たぶん、条文の中身をわかりやすく言い換えるうちに、少しずつズレていったんだと思う。制度が見ているのはサイトの"種類"じゃなくて、それが業務の道具として機能するかどうかなんだ。

マル

じゃあ、その"本当の線引き"を教えてほしいな。

ここまでのまとめ

  • 「コーポレートサイトは対象外」という条文は要領に存在しない
  • 制度はサイトの種類ではなく「業務の道具として機能するか」で判断している

本当の線引き:通るべき3つの関門

条文を整理すると、対象になるまでに3つの関門があります。

関門1完成品として 一般に売られているか× 受託制作・スクラッチ開発
関門2追加開発の費用が 含まれていないか× 制作ツール+追加開発
関門3業務を幅広く カバーしているか× 表示・単一処理だけ
ここまで通れば補助対象
2ITツール登録要領が定める除外規定を、判定の順に並べたもの。1つでも引っかかると対象外になる。

マル

3つもあるの?

タイガー

順番に見ていこう。関門1は「完成品として一般に売られているか」。要領では、製品が完成しておらずスクラッチ開発を伴うソフトウェアは対象外、特定の顧客向けに限定され一般市場に販売されていないものも対象外、と決められている。あなたのために一から作るものは、この時点で外れるんだ。

マル

関門2は?

タイガー

「追加開発の費用が含まれていないか」。これが今回の核心だね。条文にはこう書いてある——「ホームページ制作、サイト制作、WEBアプリ制作……等の制作ツールにおける、追加開発に掛かる費用が含まれているもの」は対象外、と。

マル

制作ツールそのものじゃなくて、"追加開発の費用"がダメなんだ?

タイガー

よく気づいたね、マル。ここが大事なところなんだ。あとで詳しく話すよ。

マル

じゃあ関門3は?

タイガー

「業務の機能を持っているか」。要領は、情報の入力・保存・検索・表示くらいの簡易な機能しかないものや、「ホームページと同様の仕組みのもの」を対象外としている。さらに、広告宣伝に類するもの、単なるコンテンツ配信管理システムも外れる。

マル

「機能がある」って、どのくらいあればいいの?

タイガー

ここが見落とされやすいんだけど、要領はかなりはっきり書いているよ。「1つのプロセスの中で幅広く業務をカバーするものではなく……単一の処理を行う機能しか有しないもの」は対象外、とね。つまり機能が1つあれば通る、ではない。ひとつの業務の流れを、はじめから終わりまで面倒を見られるかが問われるんだ。

マル

えっ、思ってたよりずっと厳しい……。

タイガー

そうなんだ。要領の例でいうと、「請求書を作る機能しかないソフト」は対象外。会計業務や債権債務の管理まで一連でカバーしていて、はじめて土俵に乗る。ここを甘く見積もると、あとで外れることになる。

マル

見せるだけのサイトは、ぜんぶ引っかかっちゃうんだね……。

タイガー

そうなんだ。この制度の目的は「労働生産性の向上」だからね。要領にも、業務の効率化ではなく販売する商品やサービスに付加価値を加えることが目的のものは対象外、とはっきり書かれている。集客のためのサイトは、目的がそこからズレてしまうんだ。

ここまでのまとめ

  • 関門1:一から作る(スクラッチ開発を伴う)ものは対象外
  • 関門2:制作ツールでも「追加開発の費用」が含まれれば対象外
  • 関門3:表示するだけの仕組み・広告宣伝に類するものは対象外
  • さらに関門3では「1つのプロセスを幅広くカバーすること」が求められる。単一の処理しかできないものは外れる
  • 以上はいずれもITツール登録要領 2-3(1)2 の除外規定

例外はある:条文の「ただし書き」を読む

ここまで読むとむずかしそうに見えますが、条文にはちゃんとただし書きがあります。

マル

もう完全にムリってこと?

タイガー

そう決めつけるのはまだ早いよ。さっきの関門2の条文には、続きがあるんだ。「ただし、既に完成しており、かつ追加開発に係る費用が含まれていない制作ツールは、ITツール登録の対象となる」ってね。

マル

完成してる制作ツールなら、いいんだ!

タイガー

そう。つまり「あなた専用に一から作ります」はダメだけど、すでに製品として完成していて、誰でも同じものを買える道具を導入するなら、対象になりうる。カスタマイズして作り込む費用が乗った瞬間にアウト、という線引きだね。

マル

関門3のほうにも、ただし書きはあるの?

タイガー

あるよ。「ただし、分析機能や指示機能、演算処理、制御などのプログラムは、ITツール登録の対象となる」。見せるだけで終わらず、データを分析したり、計算したり、何かを動かしたりする機能があるなら、話は変わってくるんだ。

マル

じゃあ、考え方としては……

タイガー

「サイトを作りたい」から入るとつまずく。「うちのこの業務を、道具でラクにしたい」から入ると、対象になる道が見えてくる。入口の立て方の問題なんだよ。

ここまでのまとめ

  • 完成済みで追加開発費を含まない制作ツールは、登録対象になりうる
  • 分析・演算処理・制御などのプログラムも対象になりうる
  • 「サイトを作りたい」ではなく「この業務をラクにしたい」から入るのが正しい順番

ネットショップや予約システムはどうなの?

よく聞かれるので、先回りしてお答えします。

マル

ネットショップとか、予約システムはどうなの? あれも業務っぽいけど。

タイガー

要領に「ECサイトは対象」と書かれた条文はないんだ。判断は3つの関門に戻る。完成品として売られていて、受発注から在庫管理まで業務の流れを幅広く担っていて、追加開発の費用が乗っていない——それなら通る可能性がある。逆に「うちのお店専用に作り込みます」なら関門1と2で、「カートで買えるだけ」なら関門3で外れる。

マル

結局、自分では判断できないってこと?

タイガー

いや、確実な方法がひとつあるよ。導入したい製品が実際にITツールとして登録されているかを、事務局の検索で自分の目で確かめること。登録されていれば対象、されていなければ対象外。条文を解釈するより速いし、確実なんだ。

マル

なるほど、答え合わせができるんだ。

ここまでのまとめ

  • 「ECサイトは対象」と定めた条文は存在しない。判断は3つの関門に戻る
  • 最も確実なのは、事務局サイトでITツールとして登録済みかを自分で確認すること

じゃあ、ホームページはどうすればいい?

最後に、実務的な話をします。

マル

ホームページがほしい人は、どうすればいいの?

タイガー

2つに分けて考えるのがいいよ。「見せるためのサイト」は補助金を当てにせず、自分の予算で作る。そのかわり、身の丈に合った規模から始めればいい。

マル

もう1つは?

タイガー

「業務をラクにする道具」は、補助金の対象になるか調べてみる。受発注、在庫、顧客管理、会計——このあたりは制度が本来ねらっている領域だからね。サイトと道具を切り分けて考えるのが、いちばん現実的なんだ。

マル

分けて考えれば、どっちも前に進められるんだね!

タイガー

そういうこと。無理に1つにまとめて「補助金でぜんぶ」と考えると、かえって遠回りになるんだ。

ここまでのまとめ

  • 見せるためのサイト=補助金を当てにせず、身の丈の予算で始める
  • 業務をラクにする道具=補助金の対象になるか調べてみる
  • 切り分けて考えるほうが、結果的に早く前に進める

まとめ:入口を間違えなければ、道はある

「補助金でホームページを作る」は、制度の設計上むずかしい。でもそれは、制度がケチだからではありません。この補助金が見ているのが業務の生産性であって、集客や見た目ではない、というだけのことです。

だから、入口を「サイトを作りたい」ではなく「この業務をラクにしたい」に置き換えると、使える道が見えてきます。そして見せるためのサイトは、補助金と切り離して、身の丈の規模から始めればいい。

制度の全体像はデジタル化・AI導入補助金2026の変更点に、申請の準備手順はgBizID・SECURITY ACTIONの最短ルートに、採択率の実態は46.3%は本当?枠ごとに確かめたにまとめています。ホームページそのものの費用感を知りたい方は制作費用の相場をフリーランスと制作会社で比較、補助金に頼らず身の丈で始める作り方はAIでホームページは作れる?、Comaruの制作プランはWeb制作サービスをご覧ください。

30分無料相談では、「うちの場合、補助金の対象になりそうか」「サイトと業務システム、どちらを先にやるべきか」を一緒に整理できます。補助金ありきでもなし崩しでもなく、事実にもとづいて判断したい方は、お気軽にどうぞ。

この記事は「デジタル化・AI導入補助金2026」の論点のひとつです。制度の全体像と申請までの流れは完全ガイドにまとめています。


参考(一次情報):デジタル化・AI導入補助金2026 公式サイト通常枠 公募要領(PDF)ITツール登録要領(PDF)

本文で引用した条文の所在:補助対象経費の定義=公募要領「2-2 補助対象経費の内容と、補助対象となるITツールの分類・要件」。3つの関門と各ただし書き=ITツール登録要領「2-3(1)2 ITツール登録の対象外となるもの」((ア)(イ)(ク)(サ)(シ)(ス)(セ)(ソ))。

この記事は、みなさんの“困る”を解決する猫の手「コマル」がお届けしました。 「うちの場合はどうなる?」は 30分無料相談 でどうぞ。