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補助金の採択率46.3%は本当?枠ごとに確かめた

こんにちは、コマルです。デジタル化・AI導入補助金の採択率を調べていると、「43.8%に急落」「41%まで低下」「46.3%」——同じ制度の同じ回について、まったく違う数字が出てきます。

どれが正しいのか。今回は中小企業庁が公表している採択結果の原文に当たって確かめました。物知り猫のタイガーと好奇心旺盛なマルが、数字の内訳を割っていきます。

この記事は2026年7月19日時点で公表されている採択結果(2026年6月18日公表・1次締切分)にもとづいています。以降の締切分は順次公表されるため、申請前に必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。

結論:数字が違うのは、見ている「枠」が違うから

先に答えを言います。どの数字も間違いではありません。切り取っている枠が違うだけです。

マル

ねえタイガー、採択率の記事を読み比べてたら数字がぜんぜん違うの。どれが本当?

タイガー

いい着眼点だね、マル。実はね、どれも本当なんだ。この補助金には申請の「枠」がいくつかあって、枠ごとに採択率がまるで違う。だからどの枠を切り取るかで、見出しの数字が変わるんだよ。

マル

えっ、そんなに違うものなの?

タイガー

中小企業庁が公表している1次締切の結果だと、いちばん低い枠が43.9%、いちばん高い枠が72.7%。30ポイント近く開いているんだ。
一次情報はひとつ2026年 1次締切の採択結果
通常枠だけを見ると43.9%
全体を見ると46.3%
セキュリティ枠だけを見ると72.7%
1ひとつの採択結果でも、どの枠を切り取るかで見出しの数字は変わる。

ここまでのまとめ

  • 採択率の数字がバラつくのは、集計している「枠」が違うから
  • 2026年1次締切では、枠によって43.9%〜72.7%まで開きがある
  • 見出しの数字を見たら、まず「どの枠の話か」を確認する

一次情報で確かめる:1次締切の実際の数字

では、公表されている数字そのものを見てみます。2026年6月18日に中小企業庁が公表した、1次締切分の採択結果です。

マル

実際の数字はどうなってるの?

タイガー

申請が6,440者、採択が2,982者。全体で46.3%だ。枠ごとの内訳はこうなっている。
通常枠43.9%891 / 2,028
インボイス枠(対応類型)46.9%2,027 / 4,324
セキュリティ対策推進枠72.7%64 / 88
全体46.3%2,982 / 6,440
22026年1次締切の採択結果。中小企業庁の公表資料(2026年6月18日)より作成。

マル

セキュリティ対策推進枠、72.7%ってすごく高いね!ここに出せばいいんじゃない?

タイガー

気持ちはわかるけど、それは早とちりだよ。この枠、申請がたった88者しかないんだ。母数が小さい数字は、次の回で大きく動く。それに枠は「通りやすさ」で選ぶものじゃなくて、やりたいことに合う枠を選ぶもの。合わない枠に出しても、審査で見られるのは事業計画の中身だからね。

マル

そっか……率だけ見て決めちゃダメなんだ。

タイガー

そういうこと。数字は「今どのくらい厳しいか」を知るために見るもので、枠選びの基準にはならないんだ。

ここまでのまとめ

  • 1次締切:申請6,440者・採択2,982者(全体46.3%)
  • 通常枠43.9%(891/2,028)、インボイス枠46.9%(2,027/4,324)
  • セキュリティ対策推進枠は72.7%だが申請88者と母数が小さく、参考程度に見る
  • 枠は採択率ではなく「やりたいことに合うか」で選ぶ

半分以上が落ちている、という事実

数字の内訳がわかったところで、いちばん大事な話をします。

マル

結局のところ、この46.3%ってどう受け止めればいいの?

タイガー

シンプルに言うとね、申請した6,440者のうち、3,458者が通らなかったということ。半分以上が不採択なんだ。

マル

半分以上……。そんなに落ちるんだ。

タイガー

しかも審査は、事務局が見て終わりじゃない。公募要領には「学識有識者を含む関係分野の専門家で構成された外部審査委員会において意見を聴取し、採択の決定を行う」と書かれている。書類を揃えれば自動で通る、という手続きではないんだ。

ここまでのまとめ

  • 1次締切では3,458者(53.7%)が不採択
  • 審査は外部審査委員会の意見を聴取したうえで決定される(公募要領 3-3)

「不採択の理由」は、実は誰も教えてもらえない

ここが今回いちばん驚いた部分です。

マル

落ちちゃった人は、理由を教えてもらえるの? 次に活かせるよね。

タイガー

それがね、教えてもらえないんだ。公募要領にはっきりこう書いてある。「採択・不採択に関わらず審査内容・不採択理由については開示しない」って。

マル

えっ! 落ちた本人にも教えてくれないの?

タイガー

そう。ということはね、マル。ネットでよく見る「不採択理由トップ10」みたいな記事は、一次情報ではありえないということになる。誰も本当の理由を知らされていないんだから。

マル

じゃあ、あれは何なの?

タイガー

支援している人たちの経験則や推測だね。役に立たないとは言わないよ。でも「公式に決まっていること」と「経験からの推測」は、はっきり分けて読んだほうがいい。

ここまでのまとめ

  • 公募要領は「審査内容・不採択理由については開示しない」と明記している(3-2)
  • したがって世に出回る「不採択理由」は、支援事業者の経験則や推測であって公式見解ではない
  • 公式に決まっていることと、推測とを分けて読む

一次情報でわかる「確実に落ちる条件」はひとつだけ

では、公募要領そのものは何を教えてくれるのか。

マル

じゃあ、確実なことは何もわからないの?

タイガー

いや、ひとつだけある。公募要領の減点措置の中に、「不採択とする」と言い切っている条件がひとつだけ書かれているんだ。

マル

なになに?

タイガー

IT導入補助金2024または2025で交付決定を受けたソフトウェアと、今回導入するソフトウェアの業務プロセスが重複する場合。原文にはこう書かれている——「プロセスが完全に一致する場合、不採択とする」。

マル

前にもらった人が、また同じようなものを申請するとダメってこと?

タイガー

そういうこと。しかも完全一致じゃなくても、プロセスが重複していれば減点される。さらに2022年から2025年の間に交付決定を受けていること自体も、それだけで減点対象なんだ。リピーターの人はここが最大の落とし穴だよ。

マル

2度目なら、前と違う業務の道具を選ぶってことだね。

タイガー

そう。これは推測じゃなく、条文に書いてあることだからね。

ここまでのまとめ

  • 公募要領が「不採択とする」と明記しているのは、2024年度または2025年度の交付決定分とプロセスが完全に一致する場合の1点のみ
  • 完全一致でなくても、プロセスの重複は減点対象
  • 2022〜2025年度に交付決定を受けていること自体も減点対象
  • 2回目以降の申請は、前回と異なる業務プロセスの道具を選ぶ

審査項目そのものは、公開されている

不採択理由は非公開でも、何を見られるかは公募要領に書かれています。

マル

審査で何を見られるかは、わかるの?

タイガー

これは公開されているよ。大きく3つ。事業面計画目標値政策面だ。

マル

事業面って?

タイガー

原文だと「自社の経営課題を理解し、経営改善に向けた具体的な問題意識を持っているか」「課題分析及び将来計画に対し改善すべきプロセスが、導入するITツールの機能により期待される導入効果とマッチしているか」とある。課題と道具が噛み合っているかを見られるわけだね。

マル

計画目標値は?

タイガー

ここはシンプルに一行、「労働生産性の向上率」。政策面は、国が推進する取り組みや、賃上げに取り組んでいるかどうか。

マル

審査で面談はあるの?

タイガー

審査そのものにはないよ。公募要領には「原則として、提出された書類により審査を行う」と書かれている。つまり書類に書いてあることが全てで、審査の場で口頭で補足する機会はないんだ。

マル

でも「セカンドオピニオンの面談」って聞いたことがあるよ?

タイガー

よく知ってるね。それは別物なんだ。通常枠の第3回公募から始まった「デジタル化セカンドオピニオン」は、審査そのものじゃなくて加点をもらうための面談。申請前に登録専門家とオンラインで話して、加点を取りにいく仕組みだよ。

マル

審査は書類だけ。面談は加点のため。分けて覚えるんだね。

ここまでのまとめ

  • 審査項目は「事業面」「計画目標値(労働生産性の向上率)」「政策面」の3つ(公募要領 3-3)
  • 事業面では「課題と導入するITツールがマッチしているか」が問われる
  • 「原則として、提出された書類により審査を行う」=審査は書類のみ。口頭の補足はできない
  • 面談型の「デジタル化セカンドオピニオン」は審査ではなく加点項目のひとつ(通常枠・第3回公募から)

数字を追いかけるより、確実にできることがある

マル

次の回の採択率って、わかるの?

タイガー

わからないよ。2次締切(6月15日)の結果は、この記事を書いている時点ではまだ公表されていない。3次締切は7月21日で、その結果が出るのはもっと先だ。

マル

じゃあ、待っていても仕方ないってこと?

タイガー

そのとおり。しかもね、採択率って自分ではどうにもできない数字なんだ。何人が申請するかも、予算がいくらかも、こちらで決められない。

マル

じゃあ、何を見ればいいの?

タイガー

自分で動かせるほうに時間を使うこと。加点項目は公募要領に15項目ぜんぶ並んでいて、取れば確実に加点される。審査項目もさっき見たとおり公開されている。答えが公開されている部分に時間を使ったほうが、ずっと得なんだ。

マル

動かせるところに集中する、か。わかりやすい!

ここまでのまとめ

  • 次回の採択率は事前にわからない。予測しても意味がない
  • 採択率は自分で動かせない数字。加点項目と準備は自分で動かせる
  • 数字を追う時間を、準備に回すほうが結果につながる

まとめ:数字は「厳しさの目安」として見る

「採択率が急落」という見出しは、数字だけが独り歩きしがちです。でも一次情報に当たれば、枠によって43.9%から72.7%まで開きがあるというだけの話でした。

大事なのは、どの数字を信じるかではなく、半分以上が不採択になっているという事実のほうです。しかも不採択の理由は、落ちた本人にも開示されません。だから「なぜ落ちたか」を後から知ることはできない——先に手を打つしかない制度なんです。

そして採択率は、こちらでは動かせません。動かせるのは、審査項目に沿って書類を整えること、加点項目を取ること、そして以前に交付決定を受けているなら前回と重ならない道具を選ぶこと。ここは条文に書いてある、確実な話です。

制度の全体像はデジタル化・AI導入補助金2026の変更点に、申請の準備手順はgBizID・SECURITY ACTIONの最短ルートに、ホームページ制作が対象になるかは公募要領で確認した本当の線引きにまとめています。この記事で触れた加点は加点15項目の仕分けで、賃上げ要件は3%と3.5%どっち?で詳しく扱っています。

30分無料相談では、「うちの場合どの枠が合いそうか」「今から準備して間に合うか」を一緒に整理できます。数字に振り回されず、事実にもとづいて判断したい方は、お気軽にどうぞ。

この記事は「デジタル化・AI導入補助金2026」の論点のひとつです。制度の全体像と申請までの流れは完全ガイドにまとめています。


参考(一次情報):「デジタル化・AI導入補助金2026」1次締切分の採択結果(中小企業庁・2026年6月18日)通常枠 公募要領(PDF)デジタル化・AI導入補助金2026 公式サイト事業スケジュール

本文の数値の所在:申請数・採択数および枠別内訳は、上記中小企業庁の公表ページ「1.採択結果」に記載のもの。採択率は同数値から算出(小数第2位を四捨五入)。なお同ページの表題にはインボイス枠(電子取引類型)も含まれますが、公表されている内訳に同類型の数値の記載はないため、本記事では扱っていません。

本文で引用した条文の所在(いずれも通常枠 公募要領):不採択理由の非開示=「3-2 交付申請(5)交付決定」。外部審査委員会・審査項目・「原則として、提出された書類により審査を行う」=「3-3 交付申請の審査」。プロセス完全一致による不採択および過去交付決定者の減点=「3-3(2)② 減点措置について 1)3)」。加点項目15項目・デジタル化セカンドオピニオン=「3-3(2)① 加点項目について」。

この記事は、みなさんの“困る”を解決する猫の手「コマル」がお届けしました。 「うちの場合はどうなる?」は 30分無料相談 でどうぞ。