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ルールを作った後、質問できる人がいない問題をどう埋めるか

こんにちは、コマルです。「AIのルールは配ったし、相談先も〇〇さんに決めました。でも実際に来る質問って、〇〇さんが答えられるものばかりじゃなくて……」——最近、こんな声をよく聞きます。前回の社内ルールを配って終わりにしていないかで、見返す仕組みと相談先を決める話をしました。ルールも整い、聞ける人の名前も決まった。それでも、日々の小さな質問がどこにも行き場をなくす会社は少なくありません。物知り猫のタイガーと、心配性なマルが、そのこぼれ落ちる質問の行き先を一緒に考えます。

「詳しい人」を決めたのに、なぜ質問が減らないのか

前回、相談先の欄を空欄のままにしないという話をしました。名前を決めるところまではできる会社が多いです。問題はその先で、日々の質問には「聞いていいのか迷うもの」と「聞いても答えが返ってこないもの」が混ざっています。

マル

うちも詳しい人、〇〇さんに決めたよ! これでもう相談窓口はできたはず……だよね?

タイガー

決めたこと自体はいいことだよ。でも実際に運用してみると、〇〇さんのところに来る質問は、〇〇さんが答えられるものばかりじゃないんだ。

マル

えっ、詳しい人なのに答えられないことがあるの?

タイガー

詳しいのはAIの使い方であって、会社が法律や契約の上でどこまで責任を負うかじゃない。ここを混同すると、〇〇さん自身が板挟みになって疲れてしまうんだ。

マル

板挟みって、答えられない質問が来たときだけの話?

タイガー

それだけじゃないよ。答えられる質問でも、毎日ちょこちょこ話しかけられ続けると、〇〇さんの本来の仕事が進まなくなる。量の負担範囲外の負担、この2つが同時に〇〇さん1人にのしかかるのが、いちばんの問題なんだ。

質問がこぼれ落ちる理由

  • 相談先の「名前」は決まっても、その人が答えられる範囲までは決めていない会社が多い
  • 詳しいのはAIの使い方であって、法律や契約の判断ではない
  • 範囲の外の質問まで抱えさせると、担当者本人が板挟みになって疲れる

質問を3層に分けると、逃げ場ができる

コツは、来た質問を全部同じ棚に乗せないことです。Comaruの実務では、質問を大きく3つの層に分けて考えています。

マル

3つって、どうやって分けるの?

タイガー

①ツールの使い方みたいな、よくある質問。②ルールに書いてなくて判断に迷う質問。③法律や契約が絡む質問。この3つだよ。
1
①よくある使い方の質問例:この作業にAIを使っていい? どう聞けばいい?決めている「詳しい人」がその場で答える
2
②ルールに書いていない・判断に迷う質問例:この場面は許可された使い方に入る? グレーな気がする詳しい人だけで決めず、経営側に上げて記録に残す
3
③法律・契約が絡む質問例:NDAに違反しない? 契約書にAI利用を書き足す必要がある?詳しい人の担当外。専門家や外部の窓口に振る
1質問を3層に分けて、それぞれの行き先を決めておく。全部を「詳しい人」に集めないのがポイント。

マル

えっと、①は〇〇さんに聞けばよくて、②は経営者に上げる、③は……?

タイガー

③がこの記事でいちばん話したいところ。ここだけ、他の2つと扱い方が違うんだ。

マル

①と②って、実際にはどう違うの? 境目がよく分からないかも……。

タイガー

たとえば「議事録づくりにAIを使っていい?」は①。ルールにもう書いてあるからね。でも「議事録に相手の会社名を入れたままでいい?」となると、ルールが想定していない場面に近づくから②寄りになる。ルールに書いてあるかどうかが、最初の見分け方だよ。

3層の目安

  • ①よくある使い方の質問:決めている相談先がその場で答える
  • ②ルールに書いていない・判断に迷う質問:相談先だけで決めず、経営側に上げて記録に残す
  • ③法律・契約が絡む質問:①②とは別扱い。次の見出しで詳しく話す

法律・契約が絡む質問は、詳しい人の担当じゃない

ここが「詳しい人を1人決めて終わり」にできない理由です。

マル

たとえば、どんな質問が③になるの?

タイガー

「取引先とNDAを結んでいるけど、この内容をAIに相談していい?」とか、「外注先の契約書にAI利用の一文を足すべき?」とか。これは実際にNDAを結んでいる相手の情報、AIに入れていい?お客さんの情報を扱う契約書に、AI利用の一文を足すならで扱った内容そのものだよ。

マル

そっか……こういう質問こそ、〇〇さんに気軽に聞いちゃいそう。

タイガー

そこが危ないんだ。詳しい人が「たぶん大丈夫」で答えてしまうと、会社としての判断の責任が、その人ひとりに乗ってしまう。詳しい人を守るためにも、ここだけは外に出す線を先に引いておいたほうがいい。

マル

外に出すって、具体的にはどこに?

タイガー

契約書そのものの解釈なら、顧問弁護士や契約の専門家。顧問がいない小さな会社なら、まず経営者が窓口になり、必要に応じて外部に確認する。Comaruの実務でも、相談を受ける中で「これは弁護士に確認したほうがいい」と線を引いて渡すことがある。答えを出す役目ではなく、"どこまでが社内で判断でき、どこからが外に出す話か"を一緒に整理する役目、というつもりで動いているよ。
詳しい人が答えてよい範囲
  • ツールの操作方法・使い方のコツ
  • ルールに書かれた使い方に当てはまるかの確認
  • 過去に同じ質問が出て、答えが決まっているもの
× 詳しい人の担当ではない範囲
  • 契約書・NDAの条文に違反しないかの判断
  • 個人情報保護法など法令上の可否の最終判断
  • 会社としてどこまで責任を負うかという経営判断
2詳しい人が答えてよい範囲と、担当ではない範囲。後者を本人任せにしないことが、抱え込みを防ぐ。

法律・契約が絡む質問の扱い方

  • 「たぶん大丈夫」で詳しい人が答えると、判断の責任がその人に乗ってしまう
  • 契約書の解釈は顧問弁護士や専門家。顧問がいなければ経営者がまず窓口になる
  • 外部の相談先も、答えを出す役目ではなく「社内と社外、どちらの話かを整理する」役目として使える

「聞いていいのかな」をなくす小さな工夫

3層に分けても、聞く場所がバラバラだと、迷ったまま黙ってしまう人が出てきます。

マル

①②③に分けるのは分かったけど、聞く場所が決まってないと、結局迷ったまま黙っちゃう気がする……。

タイガー

そこも大事なところ。口頭やダイレクトメッセージでバラバラに聞かれると、詳しい人の頭の中にしか記録が残らない。質問を書き込む場所を1つに決めておくだけで、①②③のどこに振ればいいかも判断しやすくなるよ。

マル

うちだと、チャットツールに専用のチャンネルを1個作る感じ?

タイガー

それで十分。人数が少ない会社なら、共有メモに書き足していく形でもいい。大事なのは、聞いた・聞かれたが後から見返せることだよ。たまった質問を見返すと、②で経営側に上げるべきものが実は多い、といった偏りにも気づける。

マル

場所を1つに決めても、結局〇〇さんに直接話しかけちゃう人がいそう……。

タイガー

それはよくある話。だから最初の数回は、直接聞かれても「悪いけど、あそこに書いておいてもらえる?」と流していいんだ。面倒に感じても、そこを崩さないほうが、後から見返せる記録が積み上がる。

聞きやすくする工夫

  • 質問を書き込む場所を1つに決める。口頭・個別のメッセージに散らさない
  • 記録が残れば、①②③のどこに振ればいいかの判断もしやすくなる
  • たまった質問を見返すと、次のルール改定に必要な材料も見えてくる

まとめ:相談窓口は「人」ではなく「経路」で作る

社内のAI相談窓口を作るというと、「詳しい人を1人決めること」だと思われがちです。しかしそれだけでは、日々の小さな質問があふれて担当者が疲れてしまうか、その人が答えられないはずの法律や契約の判断まで抱え込ませてしまうか、どちらかが起こります。

要点は、質問を全部同じ場所に集めないことです。①よくある使い方の質問は詳しい人がその場で。②判断に迷う質問は経営側に上げて記録に残す。③法律・契約が絡む質問は、詳しい人の担当外として最初から外に出す経路を決めておく——この3層に分けるだけで、「聞いていいのかな」が減り、詳しい人1人に負荷が集中する状態も防げます。

窓口は、立派な仕組みでなくても構いません。書き込む場所を1つ決めて、①②③のどこに振るかを決めておく。それだけで、ルールを配った後の「質問できる人がいない」という状態は埋められます。1人しかいない会社でも、③の逃がし先だけは先に決めておくと、いざというときに慌てずに済みます。

詳しい人を誰にするかという体制づくりはAI導入は誰が担当する?小さな会社の体制の作り方、ルールを配った後の運用は社内ルールを配って終わりにしていないかにまとめています。社内に聞ける人がいない、または③の相談先を社外に持ちたい場合はChatGPT活用支援は何をしてくれる?外部に頼む線引きもあわせてご覧ください。

30分無料相談では、「詳しい人が答えられない質問をどこに振ればいいか」「社内に相談窓口を置けない場合どうするか」を、今の体制に合わせて一緒に整理できます。まだ相談窓口自体が無いという段階でも、お気軽にどうぞ。

この記事は、みなさんの“困る”を解決する猫の手「コマル」がお届けしました。 「うちの場合はどうなる?」は 30分無料相談 でどうぞ。