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個人事業主がIT導入支援事業者になる代償

こんにちは、コマルです。ここまで補助金を「使う側」の話をしてきましたが、今回は逆側——支援する側になる話です。

ITやWebの仕事をしている個人事業主から、「自分もIT導入支援事業者になれますか」と聞かれることがあります。結論はなれます。ただし条件がひとつと、見落とされがちな代償がひとつあります。物知り猫のタイガーと好奇心旺盛なマルが、登録要領の条文を追います。

この記事は2026年7月19日時点のIT導入支援事業者 登録要領にもとづいています。申請前に必ず公式サイトで最新の要領をご確認ください。

個人事業主は「単独では」登録できない

マル

ねえタイガー、フリーランスでも支援する側になれるの?

タイガー

なれるよ。ただし条件がある。登録要領には登録の形が2種類あって、「法人(単独)」と「コンソーシアム」。そして条文にこう書かれている——「幹事社として登録できるのは法人のみである。個人事業主は、コンソーシアム構成員としてのみIT導入支援事業者として登録できる」。

マル

コンソーシアムって?

タイガー

共同事業体だね。幹事社1社と構成員1者以上で組む。幹事社になれるのは法人だけだから、個人事業主はどこかの法人が率いるチームに構成員として入るという道になる。

マル

ひとりでは無理なんだ。

タイガー

そう。ここが最初の関門だね。組む相手を見つけるところから始まる。
法人(単独)登録できるのは 法人のみ
× 個人事業主は登録できない
コンソーシアム/幹事社登録できるのは 法人のみ
× 個人事業主は幹事社になれない
コンソーシアム/構成員登録できるのは 法人・個人事業主
個人事業主の唯一の道
1登録形態は2種類。個人事業主が入れるのは、コンソーシアムの構成員としてのみ。

ここまでのまとめ

  • 登録形態は「法人(単独)」と「コンソーシアム」の2種類
  • 幹事社になれるのは法人のみ。個人事業主はコンソーシアム構成員としてのみ登録できる
  • コンソーシアムは幹事社1社+構成員1者以上で組む
  • まず組む相手(法人の幹事社)を見つける必要がある

代償:登録すると、自分は補助金を使えなくなる

ここがいちばん見落とされている部分です。

マル

構成員になれたら、支援する側と使う側の両方ができるの?

タイガー

それができないんだ。登録要領にはっきり書いてある。「IT導入支援事業者(構成員を含む。)に登録されている事業者、又は登録を行おうとする事業者は交付申請を行うことはできない」。

マル

えっ、自分は補助金をもらえなくなるの?

タイガー

そういうこと。しかも徹底していて、「IT導入支援事業者(構成員を含む。)の代表者及び役員は、他の事業者として交付申請を行うことはできない」とも書かれている。別会社を作って回避、という抜け道も塞がれているんだ。

マル

じゃあ、自分の事業のためにツールを入れたかったら……。

タイガー

先に自分が使ってから、支援する側に回るという順番になるね。逆はできない。ここは登録を決める前に、必ず考えておくべきところだよ。
支援事業者に登録する補助金を使う事業者を支援できる× 自分は交付申請ができない(代表者・役員も不可)
登録しない自分の事業で補助金を申請できる× 支援事業者としては活動できない
2支援事業者への登録と、自分が補助金を申請することは両立しない。順番を決めてから動く。

ここまでのまとめ

  • 支援事業者(構成員を含む)に登録すると、自分は交付申請ができない
  • 代表者・役員も、他の事業者として交付申請できない
  • 自分でも補助金を使いたいなら、使ってから支援側に回るという順番になる
  • 登録を決める前に、この順番を先に決める

幹事社選びが、そのままリスクになる

誰と組むかは、単なる相性の問題ではありません。

マル

幹事社ってどう選べばいいの?

タイガー

条文を読むと、選び方の基準が見えてくるよ。まず責任の所在。「コンソーシアムが支援する補助事業全般から生じる一切の責任については原則として、幹事社が負う」と書かれている。ただし続きがあって、「補助事業者が不利益を被らず、協定書で定められている場合はこの限りではない」。

マル

つまり、協定書しだいで変わる?

タイガー

そういうこと。だからコンソーシアム協定書の中身が、そのまま自分の責任範囲になる。登録申請のときに提出が必要な書類でもあるから、必ず自分の目で読むこと。

マル

他にリスクはある?

タイガー

こっちのほうが大きいかもしれない。登録要領には「登録解除や登録取消により、コンソーシアムとしての登録の要件を満たさなくなった場合には、当該コンソーシアムの幹事社及び構成員の登録やITツールの登録が取り消される場合がある」とある。

マル

他の人の問題で、自分の登録まで消えるの?

タイガー

条文はそう読める。つまり巻き込まれるのは補助金を使う側だけじゃないんだ。支援する側も、同じコンソーシアムの誰かが問題を起こせば影響を受ける。だから幹事社の姿勢は、相性より先に確かめるべきことなんだよ。

ここまでのまとめ

  • 補助事業から生じる一切の責任は原則として幹事社が負う
  • ただし協定書に定めがあれば変わる。協定書の中身がそのまま自分の責任範囲になる
  • 登録取消等でコンソーシアム要件を満たさなくなると、幹事社・構成員の登録もITツール登録も取り消される場合がある
  • 巻き込まれるリスクは、支援する側にも存在する

審査は一発勝負に近い

登録の手続きにも、知っておくべき条件があります。

マル

登録の審査ってどんな感じ?

タイガー

事務局と外部審査委員会が審査する。ここで注意したいのが3つある。ひとつめ、「事務局は、審査内容に関する問合せには一切回答を行わない」。補助金の審査と同じで、理由は教えてもらえない。

マル

ふたつめは?

タイガー

登録が認められなかった場合、原則として、同一年度内での登録申請(再申請)はできない」。落ちたらその年度は終わり、ということだね。

マル

一発勝負なんだ……。

タイガー

みっつめもある。「交付決定を受けた実績のないIT導入支援事業者は、2026年度中であってもIT導入支援事業者としての資格を停止する場合がある」。登録して終わりではなく、実際に支援した実績が要るんだ。

マル

とりあえず登録だけしておこう、が通用しないんだね。

タイガー

そういうこと。制度としては当然だけどね。名前だけ並べる場所ではない、ということだよ。

ここまでのまとめ

  • 審査は事務局+外部審査委員会。審査内容の問合せには一切回答されない
  • 登録が認められなかった場合、原則として同一年度内の再申請はできない
  • 交付決定を受けた実績がないと、年度中でも資格を停止される場合がある
  • 「とりあえず登録」は成立しない

まとめ:順番と、組む相手を先に決める

個人事業主がIT導入支援事業者になる道は、コンソーシアムの構成員としての一択です。まず法人の幹事社を見つけるところから始まります。

そして登録を決める前に、必ず2つを決めてください。

ひとつめは順番。登録すると自分は補助金を申請できなくなり、代表者個人としても申請できません。自分の事業でツールを入れたいなら、そちらが先です。

ふたつめは組む相手。責任の所在は協定書で決まり、同じコンソーシアム内で登録取消が起きれば自分の登録まで影響を受けます。条件のよさより、幹事社がコンプライアンスをどう扱っているかを見るほうが大事です。

そのうえで、支援する側は登録して終わりではありません。実際に支援した実績がなければ資格が停止されることもある。ここまで理解したうえで踏み出せば、制度の中で長く仕事ができるはずです。

補助金を使う側の話は、個人事業主も補助金は使える加点15項目の仕分け賃上げ要件の早見表にまとめています。危ない業者の見分け方は巻き込まれない見分け方をご覧ください。

30分無料相談では、「支援する側に回るべきか、まず使う側で通すべきか」といった順番の整理もできます。迷っている方は、お気軽にどうぞ。

この記事は「デジタル化・AI導入補助金2026」の論点のひとつです。制度の全体像と申請までの流れは完全ガイドにまとめています。


参考(一次情報):IT導入支援事業者 登録要領(PDF)デジタル化・AI導入補助金2026 公式サイト

本文で引用した条文の所在(いずれもIT導入支援事業者 登録要領):登録形態と「幹事社は法人のみ・個人事業主は構成員としてのみ」=「2-1 定義、役割及び登録形態(4)」。支援事業者と補助事業者の重複禁止・代表者及び役員の扱い=「2-3 留意事項(4)」。登録取消によるコンソーシアム全体への波及=「2-3 留意事項」。幹事社の責任と協定書=「3-2 コンソーシアム(幹事社)登録の要件⑥」「3-3 コンソーシアム(構成員)登録の要件⑳」。審査内容への非回答・同一年度内の再申請不可・実績なしによる資格停止=「3-4 IT導入支援事業者の審査について」。

この記事は、みなさんの“困る”を解決する猫の手「コマル」がお届けしました。 「うちの場合はどうなる?」は 30分無料相談 でどうぞ。