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賃上げ要件は3%?3.5%?条文で確かめた

こんにちは、コマルです。デジタル化・AI導入補助金の賃上げ要件を調べると、「年平均3%」「いや3.5%」「150万円以上なら必須」——説明が食い違っています

公募要領を読んで確かめたところ、食い違う理由がはっきりしました。条件が4つに分かれているからです。今回もその原文を、物知り猫のタイガーと好奇心旺盛なマルが整理します。

この記事は2026年7月19日時点の通常枠 公募要領にもとづいています。賃上げ要件は改定されることがあるため、申請前に必ず公式サイトで最新の要領をご確認ください。

結論:2つの軸で4通りに分かれる

マル

ねえタイガー、賃上げって3%なの? 3.5%なの? 記事によって違うんだけど。

タイガー

どちらも正しいよ。条文は2つの軸で条件を分けているんだ。1つめが補助金申請額が150万円以上か未満か。2つめが過去に交付決定を受けたことがあるかどうか。この掛け算で4通りになる。

マル

2×2で4つ!

タイガー

そう。だから「150万円以上は3.5%」という説明は半分だけ正しい。150万円以上でも、過去にもらったことがなければ3%なんだ。

マル

「過去にもらったことがある」って、いつの話?

タイガー

条文では「IT導入補助金2022からIT導入補助金2025までの間に交付決定を受けた事業者」と年度が特定されている。それより前だけなら、この分岐では「受けていない」側だね。
2022〜2025年度の
交付決定なし
2022〜2025年度の
交付決定あり
申請額 150万円未満
3% / +30円
3.5% / +30円
申請額 150万円以上
3% / +50円
3.5% / +50円

左=1人当たり給与支給総額の年平均成長率/右=事業場内最低賃金への上乗せ額(地域別最低賃金比)

1申請額150万円の上下と、2022〜2025年度の交付決定の有無。この2軸で4通りに分かれる。

ここまでのまとめ

  • 賃上げ要件は「申請額が150万円以上か未満か」×「2022〜2025年度に交付決定を受けたか」で4通り
  • 「150万円以上は3.5%」は半分だけ正しい。リピーターでなければ150万円以上でも3%
  • 「過去」は IT導入補助金2022〜2025 の期間を指す

早見表:自分がどれに当てはまるか

条文の4通りを、そのまま表にしました。

マル

結局、どこがどう違うの?

タイガー

変わるのは2つの数字だけなんだ。1人当たり給与支給総額の年平均成長率(3%か3.5%)と、事業場内最低賃金を地域別最低賃金にいくら上乗せするか(+30円か+50円)。

マル

法則はあるの?

タイガー

きれいに分かれているよ。リピーターだと成長率が3%→3.5%に上がる申請額が150万円以上だと上乗せが+30円→+50円に上がる。つまり「たくさんもらう人」と「2回目以降の人」に、それぞれ重い条件が課される仕組みなんだ。

マル

わかりやすい! 両方に当てはまると、いちばん厳しいんだね。
150万円未満 × 初めて
成長率 3%最低賃金 +30円加点のみ(選べる)
150万円未満 × リピーター
成長率 3.5%最低賃金 +30円申請要件と同一
150万円以上 × 初めて
成長率 3%最低賃金 +50円申請要件と同一
150万円以上 × リピーター
成長率 3.5%最低賃金 +50円申請要件と同一
24通りの条件。変わるのは成長率(3%/3.5%)と最低賃金の上乗せ(+30円/+50円)の2つだけ。

ここまでのまとめ

  • リピーター(2022〜2025年度の交付決定あり)→ 年平均成長率が3%から3.5%に上がる
  • 申請額150万円以上 → 事業場内最低賃金の上乗せが+30円から+50円に上がる
  • どの区分でも「交付申請時点で賃金引上げ計画を従業員に表明していること」が共通条件
  • なお申請額150万円未満の区分では、事業計画期間中に事業場内最低賃金を+50円以上にすると、さらに加点される(150万円以上の区分は+50円がもともと条件のため、この上乗せはない)

「加点」なのか「必須」なのか

ここが、いちばん混乱しやすいところです。

マル

賃上げって、やらないと申請できないの? それとも、やると有利になるだけ?

タイガー

いい質問だ。両方あるんだよ。条文では加点項目の5)〜8)として書かれているんだけど、そのうち6)7)8)には「本要件は申請要件と同一であることに留意すること」という注記が付いている。

マル

つまり、加点であると同時に申請要件でもある?

タイガー

そういうこと。該当する人にとってはやらないと申請できない必須条件で、同時に加点にもなる。一方、5)に当てはまる人——申請額150万円未満で、リピーターでもない人——には、その注記が付いていない。この区分だけが「やってもやらなくてもいい加点」なんだ。

マル

じゃあ、少額で初めて申請する人だけ選べるんだね。

タイガー

そう。逆に言えば、それ以外の人は選択の余地がない。「賃上げは加点だから見送ろう」と考えていると、申請自体ができないことに後で気づくことになる。

ここまでのまとめ

  • 賃上げは加点項目として書かれているが、多くの区分では申請要件と同一
  • 選べるのは「申請額150万円未満 × リピーターでない」区分のみ
  • それ以外は必須。見送るという選択肢がない

未達のペナルティは、この補助金の外まで及ぶ

賃上げを約束するかどうかを決める前に、必ず知っておいてほしい部分です。

マル

もし達成できなかったら、どうなるの?

タイガー

ここが重いんだ。条文にはこう書いてある。加点を受けて採択されたのに要件を達成できなかった場合、「効果報告において未達が報告されてから18カ月の間、中小企業庁が所管する補助金への申請にあたっては、正当な理由が認められない限り大幅に減点する」。

マル

この補助金だけじゃないの?

タイガー

そうなんだ。条文には対象の補助金が名前で並んでいる。ものづくり補助金、小規模事業者持続化補助金、事業承継・M&A補助金、Go-Tech事業、事業再構築補助金……。1つの未達が、18カ月にわたって他の補助金にまで響くんだ。

マル

どうしようもない事情があった場合は?

タイガー

救済はあるよ。「災害を受け、事業において著しい損失を受けたと認められる場合等」は、効果報告のときに理由を説明して、事務局がやむを得ないと認めれば減点は免除される。ただし業績が思ったより伸びなかった、では通らないと考えたほうがいい。

マル

約束するときに、そこまで考えないといけないんだね……。

タイガー

そういうこと。それともうひとつ。計画を従業員に表明したと申告したのに、実際には表明していなかった場合は交付決定が取り消されるとも書いてある。形だけ整えるのがいちばん危ないんだ。

ここまでのまとめ

  • 未達の場合、未達報告から18カ月間、中小企業庁所管の他補助金でも大幅に減点される
  • 対象にはものづくり補助金・持続化補助金・事業再構築補助金などが名指しで含まれる
  • 災害等のやむを得ない事情は、説明のうえ事務局が認めれば免除される
  • 表明したと申告して実際にはしていなかった場合、交付決定が取り消される

まとめ:数字より先に、達成できるかを見る

賃上げ要件でまず確かめるべきは、「自分がどの区分か」です。申請額150万円の上下と、2022〜2025年度に交付決定を受けたかどうか。この2つで、3%か3.5%か、+30円か+50円かが決まります。

そして区分がわかったら、次に確かめるのは数字そのものではなく、それを3年間続けられるかです。この要件は約束であって、達成できなければ18カ月にわたって他の補助金にも影響します。補助金の金額と、3年分の人件費の増加を並べて比べてみてください。

判断の材料としては、加点15項目の仕分けもあわせて読むと、賃上げ以外で拾える加点が見えてきます。制度の全体像はデジタル化・AI導入補助金2026の変更点、採択率の実態は46.3%は本当?をご覧ください。

30分無料相談では、「うちはどの区分か」「その賃上げは現実的か」を一緒に整理できます。数字だけで判断して後悔したくない方は、お気軽にどうぞ。

この記事は「デジタル化・AI導入補助金2026」の論点のひとつです。制度の全体像と申請までの流れは完全ガイドにまとめています。


参考(一次情報):通常枠 公募要領(PDF)デジタル化・AI導入補助金2026 公式サイト

本文で引用した条文の所在:賃上げ要件の4区分(成長率3%/3.5%、地域別最低賃金+30円/+50円、従業員への表明)=通常枠 公募要領「3-3(2)① 加点項目について」5)〜8)。申請要件との同一性の注記=同6)7)8)の※。未達時の18カ月間の減点と対象補助金・災害等の免除=同「【補足4】」。表明の虚偽申告による交付決定の取消し=同①末尾の※。

この記事は、みなさんの“困る”を解決する猫の手「コマル」がお届けしました。 「うちの場合はどうなる?」は 30分無料相談 でどうぞ。