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個人事業主も補助金は使える。ただし1つだけ壁がある

こんにちは、コマルです。「補助金って、法人じゃないと使えないんでしょう?」——個人事業主の方からよく聞かれます。

結論から言うと、使えます。ただし提出書類のところに、人によっては越えられない壁がひとつあります。今回も公募要領の原文を読んで確かめました。物知り猫のタイガーと好奇心旺盛なマルが整理します。

この記事は2026年7月19日時点の通常枠 公募要領にもとづいています。制度は改定が多いため、申請前に必ず公式サイトで最新の要領をご確認ください。

結論:対象です。書類が1種類多いだけ

マル

ねえタイガー、個人事業主でも補助金って使えるの?

タイガー

使えるよ。公募要領は法人と個人事業主を分けて書いていて、それぞれに必要書類が定められている。個人事業主が対象外という規定はどこにもないんだ。

マル

よかった! じゃあ法人と同じ手続きなの?

タイガー

ほぼ同じだけど、書類の数が1種類多い。法人は3種類、個人事業主は4種類だ。

マル

どうして個人のほうが多いの?

タイガー

法人には登記があるからね。履歴事項全部証明書1枚で「実在すること」が証明できる。個人事業主にはそれがないから、本人の確認事業の実態を別々に出すことになるんだ。
法人3種類
  • 実在履歴事項全部証明書
  • 事業実態法人税の納税証明書
  • 財務状況貸借対照表・損益計算書
個人事業主4種類
  • 本人確認運転免許証・運転経歴証明書・住民票のいずれか
  • 事業実態所得税の納税証明書
  • 事業実態確定申告書の控え
  • 財務状況青色申告決算書または収支内訳書
1法人は3種類、個人事業主は4種類。登記がないぶん「本人」と「事業実態」を分けて証明する。

ここまでのまとめ

  • 個人事業主も対象。公募要領は法人と個人事業主それぞれの必要書類を定めている
  • 必要書類は法人3種類・個人事業主4種類
  • 個人が1種類多いのは、登記がないぶん「本人確認」が別に必要になるため

個人事業主の必要書類4点

条文に書かれている4点を、そのまま見ていきます。

マル

具体的に何を出すの?

タイガー

1つめは本人を確認するもの。運転免許証、運転経歴証明書、住民票のどれか。免許証は「有効期限内のもの」、住民票は「発行から3カ月以内のもの」と条件がついている。

マル

2つめは?

タイガー

事業実態を確認するもので、ここは2点セットだ。所得税の納税証明書(その1かその2)と、確定申告書の控え。納税証明書は税務署が発行したものに限られていて、市役所で取れる証明書は使えない。

マル

最後は?

タイガー

財務状況を確認するものとして、青色申告決算書または収支内訳書。青色申告なら決算書、白色申告なら収支内訳書だね。白色でも申請できるということでもある。

マル

白色でも大丈夫なんだ!

ここまでのまとめ

  • ①本人確認=運転免許証(有効期限内)/運転経歴証明書/住民票(発行3カ月以内)のいずれか
  • ②③事業実態=所得税の納税証明書(その1かその2)+ 確定申告書の控え
  • ④財務状況=青色申告決算書または収支内訳書。白色申告でも申請できる
  • 納税証明書は税務署発行のものに限る

ここが壁:「代替書類は一切認められない」

必要書類の一覧の、すぐ上に書かれている一文があります。

マル

もし書類が揃わなかったら、代わりのものでもいい?

タイガー

それがね、公募要領にはっきり書いてあるんだ。「代替書類は一切認められない」って。「原則」でも「やむを得ない場合を除き」でもなく、一切なんだ。

マル

きびしい……。

タイガー

これがいちばん影響するのが、開業して最初の確定申告をまだ迎えていない人なんだ。納税証明書も確定申告書の控えも、そもそも存在しない。代わりに開業届や事業計画書を出す、ということもできない。

マル

じゃあ、開業したばかりだと……。

タイガー

残念だけど、実質的に申請できない。ここは頑張ってどうにかなる話じゃないから、早めに知っておいたほうがいい。逆に言うと、1回でも確定申告を済ませていれば土俵に乗れるということでもあるよ。
確定申告を1回以上済ませている納税証明書・申告書控えが存在する → 申請できる
× 開業初年度・確定申告がまだ書類がそもそも存在しない → 代替不可のため申請できない

公募要領は必要書類の一覧に先立ち「代替書類は一切認められない」と定めている。

2開業初年度は、書類が「揃わない」のではなく「まだ存在しない」。代替が認められないため申請自体ができない。

ここまでのまとめ

  • 公募要領は「代替書類は一切認められない」と明記している
  • 開業初年度で確定申告がまだの場合、納税証明書も申告書控えも存在せず、実質的に申請できない
  • 開業届・事業計画書などでの代替は不可
  • 逆に、1回でも確定申告を済ませていれば申請の土俵に乗れる

見落としやすい細かい条件

書類が揃っていても、形式で差し戻される部分があります。

マル

確定申告書の控えって、手元にあるやつでいいの?

タイガー

税務署が受領したことがわかるものでないとダメなんだ。条文では2つの方法が示されている。①第一表の控えに、受付番号と受付日時が印字されていること。②第一表の控えと、受信通知(メール詳細)をセットで添付すること。

マル

税理士さんにお願いしてる場合は?

タイガー

ここは要注意だよ。「税理士(税理士法人を含む。)の印のみが押印された書類は適切な添付資料として取り扱わない」と書かれている。税理士さんの印だけでは足りないんだ。

マル

えっ、お願いしてる人ほど困りそう……。

タイガー

でも救済策もちゃんとある。上の方法で受領が確認できない場合は、「第一表の控え+同一年度の納税証明書(その2 所得金額用)」を出せば書類を満たせる、と条文に書いてある。詰んだわけじゃないんだ。

マル

ちゃんと道が用意されてるんだね。

タイガー

それともうひとつ。書類にマイナンバーや保険者番号が写っていたら黒塗りにすること。これは個人・法人を問わない共通ルールだよ。

ここまでのまとめ

  • 確定申告書の控えは「税務署が受領したとわかるもの」に限る(受付番号+受付日時の印字、または受信通知の添付)
  • 税理士の印のみが押された書類は認められない
  • 受領が確認できない場合は「第一表の控え+納税証明書(その2 所得金額用)」で代替できる
  • マイナンバー・保険者番号が記載されている場合は黒塗りが必須
  • 確定申告書は令和7年(2025年)分。やむを得ない事情がある場合のみ令和6年分も可
  • 申請は1個人事業主あたり1申請のみ(複数同時申請はできない)

個人事業主に有利な点もある

制約ばかりではありません。

マル

個人だと不利なことばかり?

タイガー

そんなことないよ。地味だけど嬉しい話がある。採択されると事業者名が公表されるんだけど、所在地の公表範囲が法人と違う。法人は市区町村まで出るのに対し、個人事業主は都道府県までと条文で決められているんだ。

マル

自宅が事務所の人には、けっこう大事なことだね。

タイガー

そういうこと。ちゃんと配慮されているんだよ。

マル

ところで、補助率って事業の規模で変わったりするの? 小さいほうが手厚いイメージがあるけど。

タイガー

そこ、よく誤解されているところなんだ。通常枠の補助率は原則1/2以内で、「小規模事業者だから2/3」という規定は通常枠の条文にはない

マル

えっ、そうなの?

タイガー

2/3以内になる道はちゃんとあるんだけど、条件が違うんだ。「令和6年10月から令和7年9月までの間で、地域別最低賃金の近傍で雇用している従業員が全従業員の30%以上である月が3か月以上ある場合」。つまり事業の規模ではなく、賃金の水準で決まる。

マル

従業員がいない人だと、そもそも関係ないんだね。

タイガー

そういうこと。ひとりで事業をしている人は、素直に1/2で見積もっておくのが正確だよ。

ここまでのまとめ

  • 採択時の公表範囲は、法人が市区町村までなのに対し個人事業主は都道府県まで
  • 通常枠の補助率は原則1/2以内。「小規模事業者だから2/3」という規定は通常枠の条文にはない
  • 2/3以内になるのは最低賃金近傍の従業員が全従業員の30%以上の月が3か月以上ある場合(=賃金水準による)

まとめ:確定申告を1回でも済ませているかどうか

個人事業主が補助金を使えるかどうかは、確定申告を1回でも済ませているかでほぼ決まります。済ませていれば対象、まだなら実質的に申請できない。「代替書類は一切認められない」の一文が、そこをきっぱり分けています。

済ませている方は、書類自体は4点だけです。難しいのは中身より形式——税務署の受領が確認できる形になっているか、税理士の印だけで済ませていないか。ここを先に確かめておくと、締切前に慌てずに済みます。

制度の全体像はデジタル化・AI導入補助金2026の変更点に、申請前の準備はgBizID・SECURITY ACTIONの最短ルートに、どのくらい通るのかは採択率46.3%は本当?枠ごとに確かめたにまとめています。ホームページ制作に使えるかは公募要領で確認した本当の線引き、支援する側にまわる選択肢は個人事業主がIT導入支援事業者になる代償をご覧ください。

30分無料相談では、「うちの場合、書類は揃いそうか」「そもそも対象になりそうか」を一緒に確認できます。ひとりで進めていて不安な方は、お気軽にどうぞ。

この記事は「デジタル化・AI導入補助金2026」の論点のひとつです。制度の全体像と申請までの流れは完全ガイドにまとめています。


参考(一次情報):通常枠 公募要領(PDF)デジタル化・AI導入補助金2026 公式サイト

本文で引用した条文の所在(いずれも通常枠 公募要領):必要書類一覧・「代替書類は一切認められない」・確定申告書の受領確認・税理士印の扱い・マイナンバーの黒塗り=「3-2 交付申請(2)交付申請に必要な資料」。申請単位=同(4)。交付決定の公表範囲=同(5)。補助率=「2-3 補助対象経費、補助率及び補助額」。

この記事は、みなさんの“困る”を解決する猫の手「コマル」がお届けしました。 「うちの場合はどうなる?」は 30分無料相談 でどうぞ。