こんにちは、コマルです。「打ち合わせの録音を文字起こしして、ChatGPTに議事録の体裁を整えてもらえば早いですよね」という相談をよく受けます。実際、そこはAIが得意な作業です。ただし、その文字起こしの中身を確認せずに丸ごと貼り付けるのは危険です。まず、次のチャートで確認してください。
他社の固有名詞
取引先の社名・担当者名が発言とセットで残っている
金額
見積額・値引き幅・予算などの具体的な数字がある
人事の話
昇進・異動・評価・懲戒など、共有範囲が限られる話がある
NDA対象の情報
秘密保持契約で守っている相手の情報が混ざっている
1つでも当てはまる
その部分だけ言い換えてから入力
当てはまらない部分まで全部隠す必要はない
4つとも当てはまらない
そのまま入力してよい
社内だけの定例会議などが該当しやすい
議事録には、会議室にいた人たち以上の情報が詰まっています。特に注意したいのが次の4つです。1つずつ見ていきます。
1. 他社の固有名詞——社名は公開情報でも「発言とセット」だと話が変わる
取引先の社名や担当者名は、それ自体は公開情報のことが多いものです。ただし議事録では、社名が「誰が・何を言ったか」とセットで残ります。「A社が値引きを渋っている」という評価まで紐づいた状態で外部のAIに渡すのは、単に社名を口にするのとは意味が違います。

マル

タイガー
他社の固有名詞で確認すること
- 取引先の社名・担当者名は「A社」「A社担当者」などの記号に置き換える
- 置き換えるのは発言内容とセットになっている固有名詞(社名だけの一般的な言及は対象外)
- 迷ったら、置き換えても文脈が通じるかを確認する
2. 金額——見積・値引き・予算の数字はそのまま入れない
見積書の下書き、値引き幅の相談、来期予算の話——議事録には具体的な金額がそのまま残ります。金額は固有名詞と違って一見当たり障りなく見えますが、相手先の価格戦略や自社の利益率が読み取れる情報です。

マル

タイガー
金額で確認すること
- 見積額・値引き幅・予算はレンジ表記に置き換える(例:218万円→200万円台前半)
- 契約条件に関わる数字は特に慎重に扱う
- 最終的な金額はAIの出力をそのまま使わず、自分の目で数え直す
3. 人事の話——「まだ言っていい人」が限られている
昇進・異動・評価・懲戒といった人事の話題は、社内会議でも頻繁に出ます。これは社外に出せないだけでなく、社内でも「知っている人」が意図的に絞られている情報です。議事録をAIで整形して共有範囲を広げる前に、そこに人事の話が混ざっていないかを確認してください。

マル

タイガー
人事の話で確認すること
- 昇進・異動・評価・懲戒など、対象者や関係者が特定できる話は固有名詞を消す
- 「人事案件(詳細は別途共有)」のように概要だけ残す
- 議事録全体の閲覧範囲と、AI入力後の共有範囲が同じかを確認する
4. NDA対象の情報——答えは契約書次第
取引先から秘密保持契約(NDA)付きで受け取った情報が、議事録に混ざっていることもあります。この場合は一般論では決まらず、契約書に何が書かれているか次第です。判定の手順は秘密保持契約(NDA)を結んでいる相手の情報、AIに入れていい?のチャートにまとめてあるので、議事録にNDA対象の話が混ざっていたら、先にそちらで確認してください。

マル

タイガー
他社の固有名詞
株式会社◯◯様が値引きを渋っていて
→ A社が金額面で難色を示していて
金額
218万円まで下げられるか検討したい
→ 200万円台前半まで下げられるか検討したい
人事の話
鈴木さんの異動を来月発表する予定
→ 人事案件(詳細は別途共有)
NDA対象の情報
言い換えでは済まないことが多い。契約書の条項次第で答えが変わるため、先に個別のチャートで判定する。
例外——4つとも当てはまらないなら、そのまま入力してよい
ここまで4つを挙げましたが、社内だけの定例会議で、他社の話も人事の話もNDA対象も出ていない議事録なら、言い換えの手間なくそのままAIに入力して構いません。下ごしらえが要るのは「入っているとき」だけで、毎回全部を疑う必要はありません。

マル

タイガー
会議アプリの自動文字起こしにも同じ注意が要る
Zoom・Microsoft Teams・Google Meetなど、会議アプリ自体に自動で文字起こしや要約を作るAI機能が備わっていることも増えました。ここまで扱ってきたのは「人が文字起こしをChatGPTなどに貼り付ける」場面ですが、会議アプリの自動機能を使っている場合、それ自体がすでに会議の内容をAIに渡す行為にあたります。設定の扱いはサービスやプランによって異なるため、公式の設定画面で確認しておくと安心です(2026年8月時点)。
Comaruの実務ではこう下ごしらえしている
Comaruでも、打ち合わせの音声を文字起こしして議事録の体裁を整える作業にAIを使っています。実際にやっているのは、文字起こしができた時点で一度目を通し、①他社の社名・担当者名を記号に置き換える、②金額をレンジに直す、③人事の話が混ざっていれば概要だけ残す、この3つを済ませてからAIに渡す、という順番です。

マル

タイガー
議事録の下ごしらえ・3つの手順
- 他社の社名・担当者名を記号に置き換える
- 金額をレンジ表記に直す
- 人事の話が混ざっていたら概要だけ残す
- NDA対象が混ざっていたら、先にNDA記事のチャートで確認する
まとめ:入力前の1分が、あとの説明の手間を減らす
議事録をAIに作らせる前に確認すべきは、①他社の固有名詞、②金額、③人事の話、④NDA対象、の4つです。この4つが混ざっていなければ、そのまま入力して構いません。混ざっていたら、社名を記号に、金額をレンジに、人事の話は概要だけに——この置き換えだけで、AIに整形してもらう作業の速さはほとんど変わりません。
学習に使われない設定の法人向けプランを使っていても、この判断は変わりません。学習に使われないことと、社外の情報を渡していいことは別の話だからです。実際、ChatGPT Enterpriseの説明では「お客様のビジネスデータは、デフォルトでは当社のモデルの学習には使用されません」とされていますが、これは学習に使うかどうかの話であって、他社の秘密情報や人事情報を入力していい理由にはなりません。
固有名詞を記号に置き換える考え方の全体像はChatGPTに会社の情報を入れて大丈夫?、入れていい情報とダメな情報の線引きはAIに入れていい情報はどこまで?にまとめています。NDA対象の情報が混ざっている場合の判定は秘密保持契約(NDA)を結んでいる相手の情報、AIに入れていい?、個人を特定できる情報が絡む場合の考え方は個人情報保護法とAIの入力を参考にしてください。
30分無料相談では、「うちの議事録、この言い方なら入力していいか」を、実際の文字起こしに近い形で一緒に確認できます。毎回の下ごしらえが面倒に感じる方は、社内ルールとしてテンプレ化するところからお気軽にご相談ください。
参考(一次情報):OpenAI ChatGPT Enterprise
※本記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。契約書や社内規程の内容はケースごとに異なるため、個別の判断が必要な場合は専門家にご確認ください。
この記事は、みなさんの“困る”を解決する猫の手「コマル」がお届けしました。 「うちの場合はどうなる?」は 30分無料相談 でどうぞ。
