こんにちは、コマルです。「ChatGPTを仕事で使ってみたいけれど、会社の情報を入れて大丈夫なの?」——AIを使い始めるとき、慎重な方ほど最初にひっかかるのがここです。「なんとなく怖い」で止まってしまうのはもったいない。かといって「みんな使ってるから平気」で突っ込むのも危ない。そこで今回は、入力した情報がどこへ行くのかを、公式のポリシーと公的機関の注意喚起をもとに整理します。物知り猫のタイガーと、心配性なマルが、正直に確かめます。
この記事は2026年7月時点の各サービスの公式ポリシーにもとづいています。AIサービスのデータの扱いは改定が多いので、実際に使う前に、必ず各サービスの最新の設定・規約をご確認ください。
そもそも、何が「危ない」の?

マル
ねえタイガー、ChatGPTに会社の情報を入れちゃいけないってよく聞くけど、そもそも何が危ないの? 勝手にネットに公開されちゃうの?

タイガー
「入力した瞬間に世界に公開される」わけじゃないよ。危ないのはもう少し地味な話でね。入力した内容が、AIを賢くするための「学習」に使われることがあるんだ。そうなると、その情報がAIの中に取り込まれて、将来ほかの人への回答に、かたちを変えて出てくる可能性がゼロじゃなくなる。

マル
えっ、自分が入れた内容が、他人の回答に……?

タイガー
あくまで「可能性」の話で、そのまま丸ごと出るとは限らない。でも、他社の機密や、お客さんの個人情報でそれが起きたら、取り返しがつかないよね。だから「起きたら困る情報は、最初から入れない」が基本になるんだ。
あなた機密・個人情報を入力
× 対策しないと学習に使われうるAIの中に取り込まれ、将来ほかの人への回答ににじみ出るリスクが残る
○ 対策すれば学習に残らない学習オフ・一時的なチャット・法人向けプランなら、入力は学習に使われない
図1入力した内容の行き先。設定によっては「学習」に回り、AIの中に取り込まれる。そこから将来の回答ににじみ出るリスクを避けるのが基本の考え方。

マル
じゃあ、その「学習に使われる」のって、どうやったら止められるの?

タイガー
それが今日いちばん大事なところ。使っているプランによって、そもそもの初期設定が真逆なんだ。ここを知らないまま使っている人が、すごく多い。
ここまでのまとめ
- 危険の正体は「即公開」ではなく、入力内容が「学習」に使われうること
- 学習に取り込まれると、将来ほかの人への回答ににじみ出るリスクが残る
- だから「起きたら困る情報は最初から入れない」が基本
無料版と法人版で、初期設定が真逆

マル
プランで初期設定が違うって、どういうこと?

タイガー
ChatGPTを例にすると、無料版やPlus(個人向け)は、初期状態だと入力内容が学習に使われうる設定になっているんだ。OpenAIの設定画面に「Improve the model for everyone(モデルの改善に協力する)」という項目があって、これが最初はオンになっている。

マル
えっ、じゃあ普通に使ってると、学習に回っちゃってるってこと……?

タイガー
初期設定のままならね。逆に、Business(以前のTeam)・Enterprise・APIといった法人・ビジネス向けは、初期状態で学習に使わないとOpenAIが明言している。同じChatGPTでも、入口のプランで扱いが真逆なんだ。

マル
同じ名前のサービスなのに、そんなに違うんだ……。

タイガー
そう。そしてこれはChatGPTだけの話じゃない。GoogleのGeminiも、個人向けは初期状態だと入力が改善(学習)に使われうる。一方でAnthropicのClaudeは、個人向けでも2025年8月以降は初期状態でオフ(本人が同意したときだけ学習に使う)になっている。ツールごとに初期設定は違うけれど、法人・ビジネス向けなら、どれも基本は学習に使わない——ここは共通なんだ。
個人向け(無料・個人契約)法人・ビジネス向け
Claude初期はオフ(同意で使用)
学習に使わない
2026年7月時点の各社公式ポリシーより。設定変更や契約形態で変わるため、必ず最新の公式情報を確認。
図2主要な生成AIの、入力データを学習に使うかどうかの初期設定(2026年7月時点)。個人向けと法人・ビジネス向けで扱いが分かれる。設定変更や契約形態で変わるため、必ず最新の公式情報を確認。

マル
じゃあ、無料版を使うときは、その設定をオフにすればいいの?

タイガー
それが有効な手のひとつ。ChatGPTなら設定でオフにできるし、「一時的なチャット(Temporary Chat)」を使えば、その会話は履歴にも学習にも残らない。ただ、設定を変えても「絶対に安全」になるわけじゃない。うっかり別の端末やアカウントで初期設定のまま使ってしまう、といったヒューマンエラーは残るからね。だから設定だけに頼らず、次の「入れない情報を決める」とセットで考えるんだ。
ここまでのまとめ
- ChatGPT無料版・Plus(個人向け)は、初期設定だと入力が学習に使われうる
- Business(旧Team)・Enterprise・API(法人向け)は、初期設定で学習に使わない
- Geminiも個人向けは学習に使われうる。Claudeは個人向けでも2025年8月以降は初期オフ(同意時のみ)。法人向けはどれも非学習で共通
- 個人向けは設定でオフにできるが、それだけを頼りにしない
実際に、こんな事故が起きている

マル
実際に、情報が漏れちゃった例ってあるの?

タイガー
よく知られているのが、大手電機メーカーで2023年に起きたケース。技術者が、社内のソースコードや会議のメモをChatGPTに入力してしまって、外部に流出したんだ。しかもわずか3週間ほどで、似た事案が続けて発覚した。会社はその後、業務端末での生成AI利用そのものを禁止する方針に切り替えたと報じられている。

マル
悪気なく、便利だから使っただけなのに……。

タイガー
そこがこの問題の怖いところなんだ。悪意のある人が漏らすんじゃなくて、まじめに仕事を早く進めようとした人が、うっかりやってしまう。「翻訳して」「要約して」「このコードのバグを直して」——そのついでに、機密や個人情報を貼り付けてしまう。

マル
たしかに、便利だからこそ、なんでも貼っちゃいそう……。

タイガー
お客さんの名簿や問い合わせ内容みたいな個人情報でも、同じことが起こりうる。だからこそ、個人の注意力に任せるだけじゃなくて、「何を入れて、何を入れないか」を先に決めておくことが効くんだ。
ここまでのまとめ
- 実際の流出は「まじめに使った人のうっかり」から起きている
- 便利なタスク(翻訳・要約・コード修正)の"ついで"に機密を貼りがち
- 顧客の個人情報でも同じリスク。注意力任せにしない
今日からできる、3つの対策
むずかしく考えなくても、順番にやれば大丈夫。3つに絞ります。

マル
具体的には、何からやればいいの?

タイガー
1つ目は「入れない情報」を決めること。これがいちばん効く。会社の機密(未公開の情報・ソースコード・図面など)、お客さんの個人情報(名前・連絡先・取引内容)、そして自社の重要な契約情報。この3種類は入れない、と最初に線を引いておく。
○ 入れてよい- ・すでに公開されている情報
- ・一般的な相談・調べもの
- ・固有名詞を記号に置き換えた内容
- ・自分で書いた文章の下書き
× 避けたい- ・会社の機密(未公開情報・コード・図面)
- ・顧客の個人情報(氏名・連絡先・取引内容)
- ・重要な契約に関する情報
図3生成AIに入れてよい情報/避けたい情報の線引きの例。迷ったら「これが外に出たら困るか?」で判断する。

マル
でも、それだと便利さが半分になっちゃわない?

タイガー
そこはコツがあってね。具体的な固有名詞を、記号に置き換えて相談するんだ。「A社」「担当者Xさん」みたいにね。中身の相談はできて、でも本物の情報は渡さない。この一手間で、使える場面はぐっと広がるよ。

マル
2つ目は?

タイガー
設定を見直すこと。さっき話した学習オフの設定や、一時的なチャットを使う。無料版・個人版を仕事で使うなら、これは最低限やっておきたい。

マル
3つ目は?

タイガー
本格的に業務で使うなら、法人向けプランを選ぶこと。さっき見たとおり、法人向けは初期設定で学習に使われない。会社として腰を据えてAIを使うなら、月々の費用はかかるけど、これがいちばん安心な土台になる。

マル
入れない情報を決めて、設定を見直して、本気なら法人版。この順番なら、私にもできそう!

タイガー
その3つで、こわがりすぎず、油断もしすぎず、ちょうどいい距離で使えるようになるよ。
ここまでのまとめ
- ①入れない情報を決める(機密・個人情報・重要な契約情報)。迷ったら「外に出たら困るか」で判断
- 固有名詞を記号に置き換えれば、相談はできて本物の情報は渡さずに済む
- ②設定を見直す(学習オフ・一時的なチャット)
- ③本格利用なら、初期設定で非学習の法人向けプランを選ぶ
国も「入れない情報を決めておこう」と促している

マル
これって、私たちが気をつければいいだけの話なの? なにか公式なルールはないの?

タイガー
公的機関もちゃんと注意を促しているよ。個人情報保護委員会は2023年に、個人データを生成AIに入力する行為は個人情報の「利用」に当たりうるから、決めた利用目的の範囲内かを確認するように、と注意喚起している。

マル
会社向けのルールもあるの?

タイガー
経済産業省と総務省の「AI事業者ガイドライン」が、事業者向けに、機密情報については「秘密保持やセキュリティの担保がない生成AIサービスへの入力を禁止する」といった社内ルールを整えることを勧めている。これは大企業だけじゃなく、事業者全般に向けた話なんだ。

マル
じゃあ、社内のルールを作るのって、そんなに大げさなことじゃないんだね。

タイガー
そうなんだ。小さな会社でも、「これは入れない」を1枚のメモにまとめて共有するだけで、事故のかなりの部分は防げる。次の記事で、その"最低限のルール"の作り方を具体的に紹介するよ。
ここまでのまとめ
- 個人情報保護委員会:個人データの入力は「利用」に当たりうる→目的の範囲内か確認を、と注意喚起
- 経産省・総務省のAI事業者ガイドライン:機密情報は「担保のないサービスに入れない」社内ルールを推奨(事業者全般が対象)
- 小さな会社でも「入れない情報リスト」を共有するだけで事故は大きく減らせる
まとめ:こわがって使わない、より「線を引いて使う」
生成AIの情報漏洩は、「AIが勝手に悪さをする」話ではありません。多くは、まじめに仕事を早めようとした人が、便利さの"ついで"にうっかり機密を渡してしまうことから起きています。
だから対策も、難しい技術ではなく順番の問題です。①入れない情報を決める。②設定を見直す。③本気で使うなら法人プラン。この3つで、こわがって使わないのでも、油断して突っ込むのでもない、ちょうどいい距離感が作れます。
具体的な始め方は中小企業のAI活用、何から始める?、会社で使うときの基本はChatGPTを会社で使うには?、つまずきの型はAI導入がうまくいかない理由にまとめています。この記事で触れた「入れない情報リスト」を1枚のルールに落とす手順は、次の小さな会社の生成AI利用ルールで具体的に紹介します。Comaruの支援内容はサービス一覧をどうぞ。
30分無料相談では、「うちの業務でどこまでAIを使ってよいか」「どんな社内ルールにすればいいか」を、実際の使いどころに合わせて一緒に整理できます。安全に使い始めたい方は、お気軽にどうぞ。
参考(一次情報):OpenAI Data Controls FAQ/OpenAI Enterprise privacy/Google Gemini アプリのプライバシー/Anthropic 消費者向け規約の更新/個人情報保護委員会 生成AIサービスの利用に関する注意喚起/経済産業省 AI事業者ガイドライン/本文で触れた大手電機メーカーの事例はBloomberg(2023年5月)の報道による
※本記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。ポリシーや制度は改定されるため、実際の運用にあたっては各サービスの最新の規約と、必要に応じて専門家の確認をおすすめします。
この記事は、みなさんの“困る”を解決する猫の手「コマル」がお届けしました。 「うちの場合はどうなる?」は 30分無料相談 でどうぞ。