こんにちは、コマルです。「ベテランの頭の中にある勘どころを、AIに聞き出させてマニュアルに残せないか」——町工場や機械加工の現場で、こんな相談をよく受けます。定年が近い職人さんの技術を、どうにかして次の世代に渡したい。とても前向きな話です。ただ、その一歩を踏み出す前に、多くの社長さんが同じところで足が止まります。「そもそも、取引先からもらった図面をAIに読ませていいのか」という不安です。
技術継承のために残したい知見と、取引先との約束・自社の秘密として守るべき図面。一見どちらかを選ばなければいけないように見えますが、この2つはどちらか一方を諦めなくても両立できます。ポイントは「何を」AIに渡すかの中身を分けて考えることです。今日はその分け方を、マルとタイガーの対話で整理します。
技術継承と機密、何と何がせめぎ合っているのか

マル

タイガー

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タイガー

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技術継承の相談を掘り下げていくと、多くのケースでこの2つが同時に出てきます。片方だけを見て動くと、あとで困ることになります。「早く残したい」気持ちが先に立つほど、図面をそのまま見せながら相談したくなりますが、そこにこそ落とし穴があります。
ここでせめぎ合っている2つのこと
- 技術継承のために、ベテランの知見をなるべく多く言語化して残したい(会社の将来のための投資)
- 図面は取引先とのNDA対象であり、自社にとっても外部に出せない営業秘密になりうる(守るべき約束と法律)

マル

タイガー
図面そのものは、なぜ「入れてはいけない」のか

マル

タイガー
不正競争防止法(以下、「法」という。)第2条第6項は、営業秘密を①秘密として管理されている[秘密管理性]②生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報[有用性]であって、③公然と知られていないもの[非公知性]と定義しており、この三要件全てを満たすことが法に基づく保護を受けるために必要となる。

マル

タイガー

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タイガー
図面に社外秘の印を押す、閲覧できる社員を限定する、共有フォルダのアクセス権を絞る——こうした手間を取引先がかけているからこそ、法律上の保護も成り立ちます。外部のAIサービスに図面を入力する行為は、この「秘密として管理している」状態そのものを崩しかねません。うっかり入力してしまった場合、あとから取り消すことはできない点も踏まえておく必要があります。
寸法・形状・材質指定・数値データ
取引先が渡してくれた設計情報。取引先の営業秘密であり、多くの場合NDAの対象そのもの
→ 外部AIへ入力しない
経験則・判断の順番・つまずきどころ
どの図面にも共通する、ベテランの頭の中にある自社の暗黙知。特定の取引先の数値を含まない
→ 言語化してAIに聞き出させてよい
迷ったら「取引先の名前・図番・寸法を消しても意味が通じるか」で仕分ける。通じなくなるなら図面側、通じるならコツ側

マル

タイガー
図面そのものを入力してはいけない理由
- 取引先が「秘密として管理している」情報は、不正競争防止法上の営業秘密になりうる(秘密管理性・有用性・非公知性の3要件)
- 外部AIへの入力は、その「秘密として管理している」状態を崩す行為になりかねない
- 多くの場合、NDAで「第三者に開示しない」と別途約束もしている
では技術継承はあきらめるのか——「コツ」は言語化してよい
ここまで読むと、技術継承の話自体を諦めたくなるかもしれませんが、そこまでする必要はありません。図面から「加工のコツ・段取り」だけを切り離せば、AIに手伝わせられる領域は十分に残ります。切り離し方さえ覚えてしまえば、迷う場面はぐっと減ります。

マル

タイガー

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タイガー

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「コツ」側としてAIに任せてよいもの
- 「この材質・この形状のときはこうする」といった経験則・判断の順番
- 特定の取引先の図番・寸法・数値を含まない、自社に共通する暗黙知
- 迷ったら「固有名詞と数値を消しても話が成り立つか」で判断する(次の節の4ステップも参照)
実務では、この4ステップで線を引いている

マル

タイガー
気をつけようという意識だけに頼ると、忙しい現場では必ずどこかで崩れます。慣れに頼るより、手順として仕組み化したほうが確実です。次の4ステップは、Comaruが工場のお客様と技術継承を整理するときに、実際に使っている進め方です。特別な道具は要らず、話す順番と場所を決めるだけで再現できます。

マル

タイガー

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実務での線の引き方
- 図面が見えない場所で、AIとの相談・録音を行う
- 固有名詞と数値を外し、「この材質・この形状のとき」に言い換えて話す
- できた手順書は、機密が混ざっていないか必ず人の目で最終確認する
まとめ:図面は入れない、コツは言語化する
図面をAIに読ませていいかという問いへの答えは、「全部だめ」でも「全部OK」でもありません。取引先から預かった図面そのものは、不正競争防止法上の営業秘密になりうるうえ、NDAの対象でもあることが多く、外部AIへの入力は避けるべきです。一方で、ベテランの経験則や段取りといった加工のコツは、特定の図面の数値を含まない自社の暗黙知であり、言語化してAIに手伝わせてかまいません。
仕分けの目安は、「取引先の名前・図番・寸法を消しても話が成り立つか」です。成り立つならコツ側、成り立たないなら図面側。この線を最初に引いておけば、技術継承と機密保持のどちらも諦めずに進められます。
コツの聞き出し方はベテランの頭の中をAIで手順書にする、聞き出し方のコツ、NDA対象の情報の扱いは秘密保持契約(NDA)を結んでいる相手の情報、AIに入れていい?、AIへの入力全般の線引きはChatGPTに会社の情報を入れて大丈夫?、入れていい情報の判断基準はAIに入れていい情報はどこまで?にまとめています。
30分無料相談では、「うちの現場だと、図面のどこまでが機密で、どこからがコツなのか」を、実際の図面や作業の流れに合わせて一緒に整理できます。技術継承を進めたいけれど機密が心配、という方はお気軽にどうぞ。
参考(一次情報):経済産業省 営業秘密管理指針(令和7年3月最終改訂)
※本記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。個々の図面が営業秘密や契約違反にあたるかどうかの判断は、契約書の文言や取引先との関係によって異なります。個別の判断が必要な場合は、専門家にご確認のうえで対応してください。
この記事は、みなさんの“困る”を解決する猫の手「コマル」がお届けしました。 「うちの場合はどうなる?」は 30分無料相談 でどうぞ。
