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AIが書いたメール、なぜか冷たいと言われる理由

こんにちは、コマルです。先月、こんな相談がありました。「取引先への返信メールをChatGPTに下書きさせるようにしたら、その取引先から『最近のメール、なんだか素っ気ない』と言われてしまった」というものです。特定の会社が分かる書き方は避けたいとのことなので、ここでは業種や規模には触れず、実際にあったやり取りの流れだけをお伝えします。

相談してきたのは、問い合わせ対応の窓口をひとりで抱えている総務担当の方でした。数か月前からChatGPTに返信メールの下書きを作らせるようになり、文面はすぐに整い、誤字も減り、対応にかかる時間も目に見えて短くなっていました。本人としては、うまくいっている実感のほうが大きかったそうです。

マル

効率も上がって誤字も減ったなら、うまくいってるってことだよね? なんで「冷たい」なんて言われちゃったんだろう。

タイガー

それが本人にとっても、まったく予想外だったみたい。しかも指摘してきたのは、クレームというより世間話に近いトーンだった相手だったんだって。

最初にやったこと——下書きをそのまま出すようになった

1返信メールの下書きをAIに任せ始める誤字が減り、対応も速くなった
2そのまま送る運用が定着する文面のチェックはほぼしなくなっていた
気づいたきっかけ取引先から何気ない一言「最近のメール、少し素っ気ない気がして」
4直近三か月分の返信を読み返す文法や敬語の誤りは見つからなかった
5「冷たさ」の正体を分解する名前・文の長さ・断り方の3つに気づく
1相談があった件で実際に起きた流れ。効率化がうまくいっていると感じていた矢先に、取引先から一言があった。

きっかけは、長年つきあいのある取引先の担当者からの、何気ない一言でした。電話で別件の用件を話したあと、「そういえば最近のメール、前より事務的になった気がして」と言われたのです。本人に他意はなく、世間話に近い口調だったそうですが、その担当の方は数年来のやり取りの中で、雰囲気の変化にはっきり気づいていました。

言われた総務担当の方は、最初は戸惑ったそうです。文面は整っているし、失礼な言い回しもしていない。誤字も減っている。むしろ「前より良くなった」と思っていたところに、真逆の感想が返ってきたからです。

マル

えっ、失礼なことは書いてないのに「冷たい」って言われるの? それって理不尽じゃない?

タイガー

失礼かどうかと、冷たく感じるかどうかは、実は別の基準なんだと思う。マナー違反はしていなくても、体温が伝わらない文章ってあるからね。

「冷たい」の正体を分解してみると

指摘を受けた総務担当の方は、直近三か月分の返信メールを読み返してみました。そこで気づいたのは、AIが書いた文章そのものが間違っていたわけではなく、いくつかの癖が積み重なって「冷たさ」を作っていた、ということでした。

見つかった癖は3つです。ひとつ目は、相手の名前や、それまでのやり取りの経緯への言及がないこと。誰に対しても同じ文面が使い回せてしまう分、「あなたに向けて書いた」という手触りが消えていました。ふたつ目は、文の長さがほとんど揃っていたこと。一文一文が同じくらいの長さで整然と並ぶと、読み手には機械的なリズムに感じられます。三つ目は、断りや謝罪の言い回しが、決まり文句だけで済まされていたことです。

AIの下書きのまま送った文

ご連絡ありがとうございます。ご希望の日程は調整が難しい状況です。恐れ入りますが、別日程でのご対応をお願いいたします。今後ともよろしくお願いいたします。

誰に送っても成立する文。名前も経緯も出てこない

一往復してから送った文

○○様、ご連絡ありがとうございます。先日ご相談いただいた月末納品の件、その日程だと社内確認が間に合わず申し訳ございません。3営業日ほど後ろ倒しにしていただくことは可能でしょうか。ご不便をおかけしますが、よろしくお願いいたします。

名前・経緯・代わりの案の3点だけを足した

※架空の文例です。直したのは名前・経緯への言及・断り方の3か所のみで、それ以外の文章はAIの下書きのまま。

2架空の文例です。AIの下書きをそのまま送った場合と、名前・経緯・断り方を直した場合の比較。

マル

3つとも、別に間違ったことは書いてないんだよね? それなのに冷たく感じちゃうんだ……。

タイガー

そう、文法的にも敬語としても正しい。でも正しさと、相手が感じる体温は別物なんだ。名前も経緯も書いていない文章は、誰にでも送れる文章になっちゃうからね。

変えたあと——一往復してから送る運用に

原因が分かってから、その総務担当の方はAIの使い方そのものはやめず、送る前に一手間だけ加えることにしました。下書きを頼むときに「相手は数年来の取引先」「少し砕けた文体で」といったトーンを一言添える。出てきた文面を、送信ボタンを押す前に声に出して読み直す。そして、気になった一文だけを自分の言葉で書き直す——この3つです。

マル

トーンを指定するだけで、そんなに変わるものなの?

タイガー

トーンの指定だけだと、実はそこまで変わらないんだ。効いたのは「声に出して読み直す」の方。黙読だと気づかない、機械的なリズムが声に出すと引っかかるから。

マル

じゃあ、直すのは1文だけでいいの? 全部書き直さなくていいなら、手間もそんなに増えないね。

タイガー

うん。全文を書き直したら、AIに任せた意味がなくなっちゃうからね。相手の名前を入れる、経緯を一言添える、断り方をひとつだけ柔らかくする——直すのはその1、2箇所だけで十分だったみたい。

Comaruの実務ではこう考えている

この相談のあと、Comaruも自分が送るメールを見直してみました。この件について公的な基準や統計があるわけではなく、あくまでComaruと相談してきた方の実務での実感になりますが、AIが書いた文章に「体温」を足す作業は、書き直しではなく足し算だと考えています。名前を入れる、直前のやり取りに一言触れる、断るときは代わりの案をひとつ添える——この3か所さえ手で足せば、あとの文章はAIの下書きのままで十分伝わります。

マル

でも、毎回声に出して読み直すのって、忙しいときは面倒じゃない?

タイガー

正直、そこは今もComaruの中で悩みどころなんだ。件数が多い日はどうしても飛ばしがちになる。読み直しを飛ばしていい基準がどこかにあるのか、それとも例外なく毎回やるべきなのか——まだ結論は出ていないんだよね。

AIの下書きに「体温」を足す3か所

  • 相手の名前と、それまでのやり取りの経緯を一言入れる
  • 文の長さを意図的にばらつかせる(全部同じ長さにしない)
  • 断り・謝罪は決まり文句で終わらせず、代わりの案をひとつ添える

まとめ:直すのは全文ではなく、体温が抜けた1、2か所

AIが書いたメールが「冷たい」と言われるのは、文章が間違っているからではありません。相手の名前や経緯への言及がない、文の長さが均一で機械的なリズムになる、断り方が決まり文句で終わる——この3つの癖が積み重なって、正しいのに体温が伝わらない文章になってしまいます。

だからといって、全文を手で書き直す必要はありません。今回のケースで効いたのは、送る前に一度声に出して読み直し、気になった1、2箇所だけを自分の言葉に差し替えるという、小さな一手間でした。AIに任せる部分を減らすのではなく、最後の体温だけを人が足す——それくらいの距離感が、ちょうどよいバランスに落ち着きます。

AIにどこまで文章を任せてよいかの考え方はAIへの「任せ方」を設計する、会社でChatGPTを使い始める基本はChatGPTを会社で使うには?にまとめています。顧客の氏名や経緯を含む文面をAIに書かせるときの情報の扱いはAIに入れていい情報はどこまで?、決めた運用が現場で続かなくなる理由は社内ルールを配って終わりにしていないかも参考にしてください。

30分無料相談では、AIの下書きをどう使い分けているか、実際のメール文面をお伺いしたうえで、送る前のチェックの仕方を一緒に整理します。「言われてみると心当たりがある」という方は、お気軽にどうぞ。

この記事は、みなさんの“困る”を解決する猫の手「コマル」がお届けしました。 「うちの場合はどうなる?」は 30分無料相談 でどうぞ。