こんにちは、コマルです。この手順どおりに進めれば、クレーム対応メールの下書きをAIに頼みながら、お客様の実名や連絡先をAIサービス側に渡さずに済みます。難しい設定は要りません。「名前を記号に置き換えてから頼む」という、たった1つの習慣の話です。
クレームメールには、ほかの業務メール以上に個人情報が集中します。お客様の氏名・連絡先・注文番号に加えて、「〇〇様が激怒している」「二度と利用しないと言われた」といった感情的な内容までセットで書かれるからです。ここをそのままAIに貼り付けると、名前も怒りの中身も、まとめてAIサービス側に渡ることになります。

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ステップ1:消す情報を先に決める
まず、クレームメールに出てくる情報を2種類に仕分けます。消す情報は、氏名・住所・電話番号・メールアドレス・注文番号など、その人ひとりを特定できるものです。これらを「A様」「ご注文の商品」「担当窓口」のような記号に置き換えます。お客様の氏名や連絡先は個人情報保護法上の「個人データ」にあたり、事業者が本人の同意なく第三者へ渡すことは、法律で原則禁止されています。
個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない。(個人情報保護法第27条第1項)
入力した内容がAIサービス側の学習に使われる設定になっている場合、この「入力」が「提供」にあたりうる——という考え方の詳しい線引きは、個人情報保護法とAIの入力にまとめてあります。ここでは「実名のまま貼り付けない」を先に手を動かして覚えてしまいましょう。

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ステップ2:事実関係と感情表現はそのまま残す
ここが一番間違えやすいところです。記号化というと「全部を薄めて当たり障りのない文章にする」と思われがちですが、それは逆効果です。個人を特定できる情報だけを記号に置き換え、起きた出来事や相手の感情の強さは、そのままの言葉で残します。
たとえば「田中様が『二度と利用しない』と激怒している」という一文なら、「A様が『二度と利用しない』と激怒している」に直すだけで十分です。事実関係と感情のトーンまで消してしまうと、AIが返信のトーンを合わせられず、かえって的外れな下書きが返ってきます。

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Comaruの実務では、この線引きを次のように扱っています。
- 消す:氏名・住所・電話番号・メールアドレス・注文番号など、個人を特定できる情報
- 残す:起きた出来事、相手の感情の強さ、やり取りの時系列
- 迷ったら「これで本人が特定できるか」だけで判断し、できるなら記号にする
ステップ3:記号化した文章をAIに渡して下書きを作らせる
記号化が終わったら、そのままAIに渡して下書きを作らせます。「クレーム対応の一次返信メールを、丁寧かつ簡潔に」のように、用途をひとこと添えると精度が上がります。具体的には、次のような指示だとブレが少なくなります。
クレーム対応の一次返信メールを、丁寧かつ簡潔な文体で作成してください。件名は「〇〇の件について」、本文は300字程度でお願いします。

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ステップ4:下書きを人の目で確認する
AIが返してきた下書きを、送る前に必ず自分で読みます。確認するのは主に2点です。事実関係がお客様の言い分と食い違っていないか、そして文面が定型的すぎて「他人事」に読めないか。AIの文面が冷たく読まれてしまう理由はAIが書いたメール、なぜか冷たいと言われる理由で分解していますが、特にクレーム対応では、ここを見落とすと二次クレームにつながります。

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一次対応の下書きはAIに任せてよくても、電話での謝罪や個別事情の確認といった二次対応は人が行う、という役割分担も忘れずに。たとえば「返金してほしい」「担当者を出してほしい」といった個別の要望が含まれるクレームは、メール1通で完結させようとせず、電話や対面でのやり取りに切り替える判断も必要です。ここまでで文面は仕上がります。

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ステップ5:記号を実名に戻し、最終確認してから送信
最後に、記号にしていた氏名・連絡先・注文番号を、実際の内容へ手作業で戻します。ここでAIは使いません。戻し漏れ・戻し間違いがないかを見るのが、送信直前の最後のチェックです。

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5ステップのふりかえり
- 消す情報(氏名・連絡先・注文番号など)を先に決める
- 事実関係と感情表現はそのまま残す
- 記号化した文章をAIに渡して下書きを作らせる
- 下書きを人の目で確認する(トーン・事実誤認)
- 記号を実名に戻し、最終確認してから送信する(戻す作業もAIを使わない)
まとめ:消すのは「誰か」だけでいい
クレームメールをAIに手伝わせること自体は、悪いことではありません。問題になるのは、お客様の実名や連絡先を入れたまま貼り付けてしまうことです。個人情報保護法は、個人データを本人の同意なく第三者へ渡すことを原則禁止しており、AIサービスへの入力もその対象になりえます。
だからといって、内容まで薄めて当たり障りのない文章にする必要はありません。消すのは「誰か」が分かる部分だけ。事実関係と感情の強さはそのまま残し、記号化→AI下書き→人の確認→実名への戻し、という順番さえ守れば、AIの力を借りながら安全にクレーム対応の文面を仕上げられます。
この5ステップは、クレームメールに限った話ではありません。問い合わせ対応やアンケートの自由記述など、お客様の氏名と個人的な内容がセットで出てくる業務であれば、同じ順番がそのまま使えます。慣れてしまえば、記号化は数十秒で終わる作業です。
「そもそもどこまでAIに入れていいのか」はAIに入れていい情報はどこまで?、記号化を忘れて実名のまま入力してしまったときの動き方はAIに情報を入れてしまった、と気づいたら最初にやることを参考にしてください。今回のような線引きを社内のルールとして1枚にまとめたい場合は、小さな会社の生成AI利用ルールもあわせてどうぞ。
30分無料相談では、クレーム対応に限らず、業務ごとに「どこまでAIに入れていいか」を一緒に整理できます。記号化のルールを社内で共有する仕組みづくりも承っています。お気軽にご相談ください。
参考(一次情報):e-Gov法令検索 個人情報の保護に関する法律 第27条
※本記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。個別の事案が「第三者提供」にあたるかどうかの判断は、実際の入力内容やAIサービスの設定によって異なるため、専門家にご確認のうえで対応してください。
この記事は、みなさんの“困る”を解決する猫の手「コマル」がお届けしました。 「うちの場合はどうなる?」は 30分無料相談 でどうぞ。
