こんにちは、コマルです。「提案書の構成や文章はAIに任せているけれど、中に入っている数字までAI任せで大丈夫だろうか」——そう思ったことがあるなら、その心配は正しいです。この記事の手順どおりに進めれば、提案書1本あたりの数字チェックは20分あれば十分終わります。
危ないのは文章の出来ではなく数字のほうです。AIは「それらしい数字」を作るのが得意で、間違っていても自信ありげに出してきます。実績件数・割合・出典つきの統計・年号——この4種類だけ人の目で数え直せば、提案書の信頼性はほぼ守れます。
ステップ1:数字にすべて印をつける
まず、提案書の中の数字を1つ残らずマーカーやコメントで拾い出します。件数・金額・パーセンテージ・年号・「〇〇によると」という出典表現——見つけたものは、あとで種類ごとに確認方法を変えます。

マル

タイガー
ステップ2:合計・件数は元データと突き合わせる
「導入実績150件」「累計相談件数300件」のような数字は、請求書や実績一覧など、元になったファイルを開いて実際の件数と一致するか確認します。AIに「これまでの実績をまとめて」と頼むと、途中の会話で出た仮の数字がそのまま残ってしまうことがあります。
元データがすぐに見つからない場合は、集計を後回しにせず、その場で「未確定」の注記を残しておきます。数字を仮置きしたまま提出してしまうより、確認中の一言を添えるほうが、後から訂正するときの負担がずっと小さく済みます。

マル

タイガー
ステップ3:割合は自分で計算し直す
「顧客の8割が継続利用」のような割合は、分母が何かを確認したうえで、電卓かExcelで実際に割り算をやり直します。AIが出す割合は、元の件数と矛盾していても、文章としては違和感なく仕上がってしまうためです。
たとえば「継続150件中120件」なら8割で合っていますが、「新規150件中120件」を分母に混ぜて計算すると割合はまったく変わります。どの母数で割ったかまで書き出してから、答え合わせをしてください。

マル

タイガー
ステップ4:出典つきの数字は、出典を実際に開く
「〇〇省の調査によると」「業界団体の発表では」といった、出典を名指しした数字がもっとも危険です。AIは、それらしい出典名と数字を組み合わせて、実在しない統計を作ることがあります。検索して、その出典と数字が実際に存在するかまで確認してください。
出典を確認せずに提出してしまった結果、法律家が処分を受けた実例もあります。2023年、米ニューヨーク州の裁判で、弁護士がChatGPTに調べさせた判例を検証せずそのまま提出書類に引用したところ、それらが実在しない判例だったことが発覚し、裁判所から5,000ドル(当時のレートで約72万円)の支払いを命じられました。提出したのは判例集でしたが、「もっともらしい体裁の出典ほど、確認せずに信じてしまう」という構造は、提案書の統計の引用とまったく同じです。

マル

タイガー
ステップ5:年号・制度名は「今日時点」で確認する
AIが学習した情報には作られた時点があり、すでに変わった制度名や年度をそのまま出してくることがあります。「2024年の〇〇制度に基づき」のような記述は、その制度が今も同じ名前・内容で続いているかを、公式サイトで確認してから使ってください。
内容自体が間違っていなくても、古い年号や廃止済みの制度名が1つ残っているだけで、相手には「この提案書、ちゃんと確認して作られていないのでは」という印象を与えます。数字の正確さと同じくらい、時点の新しさも信用に関わります。

マル

タイガー
提案書を出す前に、この4種類だけ数え直す
- 件数・合計は、元データ(請求書・実績一覧など)と突き合わせる
- 割合は、分母を確認したうえで自分で計算し直す
- 出典つきの数字は、出典を実際に検索して実在を確認する
- 年号・制度名は、今も同じ内容で続いているか公式サイトで確認する
まとめ:文章はAI、数字は自分の目
提案書の構成や言い回しをAIに任せること自体に問題はありません。危ないのは、AIが作った数字を確認せずに出してしまうことです。合計・割合・出典つきの数値・年号——この4種類さえ数え直せば、提案書1本あたり20分ほどで数字の危険はほぼ消せます。
出典を確認しないまま出した数字は、それが判例であっても業界統計であっても、結果として信用を失う点は変わりません。逆に言えば、この4種類だけ人の目を通すというシンプルな習慣が、AIを使いながら提案書の質を落とさない一番の近道になります。
「AIに全部任せるか、全部自分でやるか」という二択で考える必要はありません。文章・構成・言い回しはAIに任せたまま、数字だけを最後に自分の目で数え直す——この分担さえ崩さなければ、AIを使う速さと、提案書としての信用は両立できます。
AIがもっともらしい数字や存在しない出典を作ってしまう仕組みそのものはChatGPTの答えをそのまま出すとどんなリスクがあるかで扱っています。見積書の金額欄で同じように「AIに任せていい部分」を線引きした記事は見積書はAIに作らせていい部分と、絶対に任せてはいけない部分、AIの答えを検証せず使う設計そのものの危うさは中小企業のAI導入が失敗する5つの理由、会社の情報を入力する際の注意点はChatGPTに会社の情報を入れて大丈夫?にまとめています。
30分無料相談では、提案書や見積書でAIをどこまで使っているかをお伺いしたうえで、数字の確認をどう仕組み化すればいいかを一緒に整理します。「今の提案書、数字は大丈夫だろうか」と気になった方は、お気軽にどうぞ。
参考(一次情報):総務省・経済産業省 AI事業者ガイドライン(第1.2版)掲載ページ/同ガイドライン本文(PDF)。判例の実例はITmedia NEWS「ChatGPT生成の"存在しない判例"を使った米弁護士、約72万円の支払いを命じられる」(2023年6月27日)の報道による
※本記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。紹介した事例や制度の内容は個別の状況によって異なるため、実際の対応にあたっては専門家にご確認ください。
この記事は、みなさんの“困る”を解決する猫の手「コマル」がお届けしました。 「うちの場合はどうなる?」は 30分無料相談 でどうぞ。
