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社内にAIを入れる最初の30日——何から手を付け、何を測るか

こんにちは、コマルです。「うちもAIを入れたい」というご相談が、この1年で目に見えて増えました。ただ、多くの場合いちばん最初の質問は「どのツールがいいですか?」です。

正直に言うと、そこから始めると、たいてい30日後に何も残りません。道具は決まったけれど誰も使っていない、という状態です。今日は、実際に伴走するときにコマルが最初の30日で何をしているのかを、そのまま書きます。物知り猫のタイガーと好奇心旺盛なマルにも手伝ってもらいます。

マル

道具から選んじゃダメなの?いいツールを入れれば、あとは使うだけじゃない?

タイガー

道具はあとでいいんだ。先に決めるのは「どの作業を楽にするか」。ここが決まっていないと、どんなに良い道具でも「便利そうだね」で終わってしまうんだよ。

30日を4週に割る

やることを詰め込みすぎないのがコツです。1か月でやるのは、たった4つです。

1週目棚卸し時間の行き先を洗い出す
2週目1つ試す道具を決め、入れない情報も決める
3週目型にするうまくいった頼み方を共有する
4週目判定続けるか、やめるかを決める

道具を決めるのは2週目です。1週目に何も導入しないのは、 あとで効果を測るための物差しを先に作っておくためです。

1最初の30日の流れ。道具を選ぶのは2週目で、しかも主役ではない。

マル

4週目が「判定」になってる。1か月で結論を出しちゃうんだ?

タイガー

出す。というより、出すと決めておくのが大事なんだ。期限を切らないと「なんとなく続いている」「なんとなく消えた」になる。1か月後に必ず判定する、と先に決めておくと、途中の進め方まで変わるんだよ。

1週目:道具ではなく「時間の行き先」を洗い出す

最初の1週間は、何も導入しません。やるのは現状の棚卸しです。

具体的には、主要なメンバーに「先週、何にいちばん時間を使ったか」を挙げてもらいます。細かい記録は要りません。ざっくりで十分です。ここで出てくるのは、たいてい次のようなものです。

  • 問い合わせやメールの返信を書く
  • 議事録・報告書をまとめる
  • 同じような資料を毎回作り直す
  • 資料や過去のやりとりを探す

マル

これ、AIの話が1つも出てこないね。

タイガー

そう。でもこの一覧が、あとで「効果があったか」を測る物差しになるんだ。ここを飛ばすと、30日後に「なんとなく便利になった気がする」しか言えなくなる。

ここまでのまとめ

  • 1週目は導入しない。「先週いちばん時間を使ったこと」を洗い出すだけ
  • 記録は厳密でなくていい。ざっくりでも、あとの判断材料になる
  • ここが後の効果測定の物差しになる

2週目:1つだけ選んで、ルールを先に置く

洗い出したものから、1つだけ選びます。選び方は「よく起きる×判断が軽い」が基本で、これは中小企業のAI活用、何から始めればいい?で詳しく書いたとおりです。

道具を決めるのはこの段階です。ただし、道具選びより先にやることがあります。入れていい情報の線引きです。

マル

えっ、そんなの後回しでいいんじゃないの?とりあえず使ってみてから……。

タイガー

それがいちばん危ないんだ。使い始めてから決めようとすると、決まる前に誰かがお客さんの情報を貼ってしまう。先に「これは入れない」を1枚の紙にしておく——これだけで防げるからね。

線引きの具体的な中身とひな形は小さな会社の生成AI利用ルールに置いてあります。ゼロから作る必要はありません。

ここまでのまとめ

  • 選ぶのは1つだけ。「よく起きる×判断が軽い」作業から
  • 道具選びより先に「入れていい情報/入れない情報」を決める
  • ルールはひな形を使えばよい。作り込まなくていい

3週目:うまくいった頼み方を、型にして共有する

2週目で「なんとなく良い結果が出た」人が出てきます。ここで放っておくと、その人だけが使えるまま終わります。

やることは単純で、うまくいったときの頼み方をそのままメモに残し、みんなが使える場所に置くだけです。凝った仕組みは要りません。共有フォルダのテキストファイルで十分です。

マル

「この書き方で頼むと、いい返事がくる」っていうのを、そのまま置いておくんだね。

タイガー

そう。1人の当たりを、全員の当たりにする。会社としてAIが効くかどうかは、ほとんどここで決まるんだ。逆に言うと、ここをやらないと、何人がAIを使っても足し算にならない。

このとき、渡す文脈を絞ると結果が安定します。何を渡して何を捨てるかの基準はAIの使用量が増える本当の理由にまとめました。

ここまでのまとめ

  • うまくいった頼み方を、そのままメモにして共有場所へ置く
  • 仕組みは要らない。テキストファイルで足りる
  • ここをやらないと、個人の便利が会社の成果にならない

4週目:続けるか、やめるかを決める

30日目に判定します。判断材料は3つだけです。

時間は減ったか

1週目の棚卸しと比べて、ざっくりで判断する

また使いたいか

やらされ感で終わっていないか。本人の意思を聞く

他の人にも渡せるか

頼み方をメモにして、別の人が再現できるか

3つのうち2つ満たせば、続ける

満たせなければ、はっきりやめて次の作業へ移ります。 洗い出した一覧は残っているので、やり直しにはなりません。

230日後の判定。3つのうち2つが満たせていれば続ける価値がある。

マル

全部そろってないとダメじゃないの?

タイガー

最初の30日で全部そろうことは、まずないよ。2つ満たせば十分。むしろ大事なのは、ダメだったときにちゃんとやめることなんだ。効かなかったものを惰性で続けると、「AIは役に立たない」という印象だけが社内に残る。

マル

やめるのも、ちゃんとした結果なんだね。

タイガー

そう。1つ目がダメでも、洗い出した一覧はまだ残ってる。次の作業に移ればいいだけだよ。

ここまでのまとめ

  • 判断材料は「時間が減ったか」「使い続けたいか」「他の人にも渡せるか」の3つ
  • 2つ満たせば続ける価値がある。全部そろわなくていい
  • 効かなければ、はっきりやめる。惰性で続けるほうが害が大きい

よくあるつまずき方

伴走していて、繰り返し見かける失敗の形があります。

  • 全社一斉に始める——教える側が足りず、質問が滞留して熱が冷めます。まず1部署、できれば数人から
  • 道具から入る——「何を楽にするか」が空白のまま契約だけ進み、使われないまま更新日が来ます
  • 測らない——効果を語れないので、次の予算も、次の一手も出てきません
  • 失敗を隠す——うまくいかなかった使い方こそ共有価値があります。同じ穴に全員が落ちるのを防げます

なぜつまずくのかをもう少し掘り下げた話は中小企業のAI導入が失敗する5つの理由に、 起きている症状から自社の状態を見分ける形に整理したものはAI導入が失敗する5つの型に書いています。 上の4つに心当たりがあるなら、先に型のほうを読むと当たりが早いはずです。

まとめ

  • 最初の30日でやるのは4つだけ。棚卸し → 1つ試す → 型にする → 判定
  • 道具選びは2週目。しかも主役ではない。先に決めるのは「どの作業を楽にするか」と「入れない情報」
  • 3週目の共有を飛ばすと、個人の便利で終わる
  • 30日目に必ず判定する。効かなければやめるのも正しい結果

大がかりな計画も、専任の担当者も要りません。必要なのは「1つ選ぶ」と「1か月後に必ず見直す」の2つだけです。AIをもっと広く仕事に組み込んだ先の形はAIで分身を持つに書きました。導入費用を抑えたい場合はデジタル化・AI導入補助金2026 完全ガイドもあわせてどうぞ。

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この記事は、みなさんの“困る”を解決する猫の手「コマル」がお届けしました。 「うちの場合はどうなる?」は 30分無料相談 でどうぞ。