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生成AIの利用規約、契約前にどこを見れば安全か判断できるか

こんにちは、コマルです。「このAIサービス、契約してもいいものか」——読むべきは規約の全文ではありません。見る場所を5つに絞れば、法務担当がいなくても危ない契約かどうかの見当がつきます。まずは、その5つの窓を見てください。

1
入力データは学習に使われる設定か見出し語:Content/Training/データの利用初期設定が「使う」側か「使わない」側かを確認する
2
保存期間——消してからどれくらいで消えるか見出し語:Data retention/保持期間削除後、完全に消えるまでの日数を確認する
3
誰が見られるか(第三者提供・アクセス範囲)見出し語:Access/Third party/提供社員以外に見られる可能性があるかを確認する
4
生成物(アウトプット)の権利は誰のものか見出し語:Ownership/権利の帰属作った文章・画像を仕事で使ってよいかを確認する
5
解約したら、データはどうなるか見出し語:Termination/契約終了時の効果解約後、いつまでにデータが消えるかを確認する
1契約前に見る5つの窓。規約の中でこの見出し語を探すと、該当箇所が見つかりやすい。

5つとも、規約の中に対応する見出しがあるのが普通です。難しい言い回しに気圧されず、この5か所だけ拾い読みしてください。

マル

全文読むのを覚悟してたから、ちょっと気が楽になった……。でも5つも見なきゃいけないんだよね?

タイガー

うん、でも1つずつはそんなに長くないよ。ここからは実例として、ChatGPTの規約を実際に見ながら、5つの窓それぞれで何が書いてあるかを一緒に確認していこう。

①入力データは、学習に使われる設定か

OpenAIのヘルプセンターは、個人向け(ChatGPT・Codex)と法人向け(Business・Enterprise・API)で、この扱いを明確に分けています。個人向けは、入力した会話が初期設定でモデルの学習に使われる可能性があり、止めたい場合は設定画面から個別にオプトアウトする必要があります。法人向けは逆で、初期設定では学習に使いません(2026年8月時点)。詳しいオフの手順は「学習させない」設定の手順にまとめています。

マル

じゃあ、法人向けプランに変えれば、この項目はもう見なくていいの?

タイガー

見なくていい、じゃなくて「初期設定が学習に使わない側になっている」と確認できた、が正確だよ。契約後に自分たちで設定を触っていないか、念のため画面でも見ておくと安心。

①で見る言葉

  • 規約の中の「Content」「Training」「データの利用」といった見出し
  • 初期設定(デフォルト)が学習に使う側か、使わない側か
  • 使う側だった場合、オプトアウトの手順が書いてあるか

②保存期間——消してからどれくらいで消えるか

会話を削除すると、画面上からはすぐに消えます。ただ、システムから完全に消えるまでには猶予があります。ChatGPTは個人向け・法人向けとも、削除した会話は原則30日以内にシステムから完全に削除されるとヘルプセンターで説明しています(法的な保持義務がある場合などを除く)。API利用では、不正利用の監視目的で入出力データを最大30日保持したあと自動的に削除するのが標準の設定で、条件を満たせばゼロ保持(保存しない設定)をリクエストできるとされています。

マル

削除しなかった会話は? ずっと残るの?

タイガー

そこは契約形態で違う。個人向けは自分で消さない限り残り続ける。法人向け(Business・Enterprise)は管理者が保持期間を設定できる仕組みだよ。「消せば消える」だけでなく「消さなければどうなるか」も見ておくといい

②で見る言葉

  • 「Data retention」「保持期間」という見出し
  • 削除してから完全に消えるまでの日数
  • 何もしなければ、いつまで残り続けるか

③誰が見られるか——第三者への提供・アクセス範囲

入力した内容は、OpenAI社内の誰でも自由に見られるわけではありません。同社のプライバシーに関する説明では、保存されたデータへのアクセスは、エンジニアリングの対応や不正利用の調査・法令対応に必要な社員、そして守秘義務を負ったうえで不正レビューのためだけに関わる外部委託先に限定される、とされています。取引先とNDA(秘密保持契約)を結んでいる情報を入力していいかどうかは、この「誰が見られるか」の範囲とNDAの条文を突き合わせて判断します。詳しくはNDAを結んでいる相手の情報、AIに入れていい?で整理しています。

マル

「限定される」って言われても、結局ゼロじゃないんだよね……。

タイガー

そう、ゼロにはならない。だからNDAの相手先情報は、この項目を読んでから判断するんじゃなく「入れない」を先に決めておくのが安全だよ。この項目は、主に自社の判断で入れる情報について確認するためのものだね。

④生成物(アウトプット)の権利は誰のものか

見落とされがちですが、AIが作った文章や画像を仕事でそのまま使うなら、権利の扱いも確認が必要です。OpenAIの規約は、個人向け・法人向けのどちらも共通して、入力(Input)の権利は利用者に残り、出力(Output)の権利も利用者のものとする立て付けです。OpenAI側に権利が生じた場合も、その権利は利用者に譲渡すると明記されています(2026年8月時点)。

マル

じゃあ、AIに作らせた文章をそのままお客さんへの納品物に使っても大丈夫ってこと?

タイガー

権利の帰属という意味では大丈夫。ただ「他の利用者にも似た出力が出ることがある」という注意書きもあるから、独自性が重要な場面ではそのまま出さず、自分の言葉に直すのが安全だよ。

⑤解約したら、データはどうなるか

契約を終えたあとの扱いも、意外と見落とされます。OpenAIの法人向け規約では、契約が終了すると、原則として30日以内に顧客データをシステムから削除するとされています。ただし、法律で保持が義務づけられている場合や、利用者側が書面で別の合意をしている場合はこの限りではありません。

マル

「解約=データが即消える」わけじゃないんだね。

タイガー

そう。逆に言えば、解約後もしばらくはデータが残っている前提で、乗り換えや解約のタイミングを考えたほうがいいよ。

個人向けプランと法人向けプランは、別の規約

ここまでの5つを一気に確認する近道があります。OpenAIは、ChatGPT・Codexなど個人向けの利用規約と、ChatGPT Enterprise・API・その他法人向けサービスに適用する「Business Terms」を、そもそも別の文書として用意しています。つまり、契約するプランを個人向けから法人向けに変えるだけで、5つの窓のうち多くが有利な側に切り替わります。

個人向け(例:ChatGPT Free・Plus)
①学習利用
初期設定で学習に使われうる(オプトアウト可)
②保存期間
削除しない限り保持。削除後は原則30日以内に消去
③第三者提供
アクセス範囲を説明する専用ページが無く、確認しづらい
④生成物の権利
規約上、利用者側に帰属
⑤解約後
個別の削除期限の明記が薄い
法人向け(例:ChatGPT Business・Enterprise・API)
①学習利用
初期設定で学習に使わない
②保存期間
管理者が保持期間を設定。削除後は原則30日以内に消去
③第三者提供
業務上必要な社員・守秘義務ある委託先に限定と明記
④生成物の権利
規約上、契約者側に帰属
⑤解約後
契約終了から原則30日以内にデータ削除と明記

出典:OpenAI Terms of Use(個人向け)・Business Terms(法人向け)・Help Center「How your data is used to improve model performance」「How to Delete and Archive Chats in ChatGPT」・Enterprise Privacyページ(2026年8月時点)をもとにComaruが整理。プランの区分・条件は改定されることがあるため、契約時は必ず最新の規約を確認してください。

2ChatGPTの個人向けプラン(Free・Plus)と法人向けプラン(Business・Enterprise・API)で、5つの窓の答えがどう変わるか。OpenAI公式規約・ヘルプセンターの記載をもとにComaruが整理(2026年8月時点)。

マル

個人向けのプランをみんなで使い回すより、法人向けに変えたほうが安全ってこと?

タイガー

安全側に振りやすい、が近いかな。何人からBusinessに変えるべきかの目安ChatGPTは何人からTeamにすべきかにまとめてあるから、金額と合わせて検討してみて。

例外——ここまで気にしなくていいケース

5つすべてを毎回厳密に確認する必要があるわけではありません。会社の固有名詞や個人情報を一切含まない、公開されている情報だけで質問している場合は、①〜⑤の重みはぐっと下がります。「一般的な文章の書き方を教えて」「この言葉の意味を教えて」といった使い方がこれにあたります。

マル

じゃあ、判断基準はいつも「会社や個人の情報が入るかどうか」ってこと?

タイガー

そう。入れる情報が公開情報だけなら、規約を毎回読み直す必要はない。社内の情報や個人情報が入る場面だけ、5つの窓を思い出せばいいんだ。何を入れていいかの一覧はAIに入れていい情報はどこまで?にまとめてあるよ。

Comaruの実務ではこう確認している

Comaruでは、新しいAIツールを契約する前に、マーケティングページではなく必ず規約のページを開き、①〜⑤の5項目をそのまま検索語にしてブラウザ内検索(Ctrl+F)しています。見つからない項目があれば「書いていない」という事実として扱い、サポートに確認するか契約を見送ります。確認した日付と結論だけを、1行のメモに残しています。

マル

Ctrl+Fで探すだけならできそう!

タイガー

うん、それだけで十分。規約を最初から最後まで読む必要はなくて、この5つのキーワードで検索するだけでかなりの部分が拾えるよ。

まとめ:5つの窓を、契約前に一度だけ見る

生成AIサービスと契約していいかどうかは、規約全文を読み込まなくても判断できます。①入力データが学習に使われる設定か、②削除してから完全に消えるまでの保存期間、③誰が見られるかという第三者への提供・アクセス範囲、④生成物の権利が誰のものか、⑤解約したときにデータがどうなるか——この5つの窓を規約の中で探すだけで、危ない契約かどうかの見当がつきます。

個人向けプランと法人向けプランは、そもそも別の規約が適用されているケースが多く、法人向けに切り替えるだけで有利な側に変わる項目もあります。ただし、切り替えれば自動的に安全になるわけではありません。5つの窓は、契約のたびに一度は自分の目で確認してください。

入力していい情報の線引きはAIに入れていい情報はどこまで?、社内ルールとしてまとめる手順は小さな会社の生成AIルール、学習させない設定の操作手順は「学習させない」設定の手順、法人プランへの切り替えの目安はChatGPTは何人からTeamにすべきかを参考にしてください。

30分無料相談では、契約しようとしているAIサービスの規約を一緒に開いて、5つの窓のどこが自社にとって危ないかを確認します。規約の英語や法律用語に気後れしている方も、お気軽にどうぞ。


参考(一次情報):OpenAI Terms of UseOpenAI Business TermsOpenAI Help Center「How your data is used to improve model performance」OpenAI Enterprise PrivacyOpenAI Help Center「How to Delete and Archive Chats in ChatGPT」

※本記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。規約は改定されることがあるため、実際の契約にあたっては必ず最新の公式規約をご確認ください。個別の契約判断が必要な場合は、専門家にご相談ください。

この記事は、みなさんの“困る”を解決する猫の手「コマル」がお届けしました。 「うちの場合はどうなる?」は 30分無料相談 でどうぞ。