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AIが使えるのは1人だけ——その状態から抜け出す3つの手

こんにちは、コマルです。よく聞かれる質問を順に答えます。今回のテーマは「社内で自分だけがAIを使いこなせている」という状態です。導入がうまくいった会社ほど、実はここで新しい壁にぶつかります。"使えるようになったこと"自体が、次の行き詰まりの原因になるからです。10の質問に沿って、症状の見分け方から抜け出す3つの手まで整理します。

Q1. 「AIが使えるのは1人だけ」って、具体的にどんな状態?

マル

うちも、AIまわりの相談はぜんぶ私に来るんだけど……これって普通じゃないの?

タイガー

よくあることだけど、注意サインではあるよ。目安は3つ。①AIを使った作業の依頼が特定の1人に集中する ②その人が休むとAI関連の作業が止まる ③他の人は「使えない」というより「何をどう聞けばいいか分からない」で止まっている。この3つが揃っていたら、その状態にいる可能性が高いね。

Q2. でも、誰かが得意になるのは自然なことじゃない?

得意な人がいること自体は問題ではありません。問題になるのは、その人にしかできない状態が固定されることです。得意な人が仕事を巻き取り続けると、他の人はAIに触れる機会そのものを失い、差はむしろ広がっていきます。最初のうちは「早いから任せよう」で回りますが、半年後には「あの人がいないと分からない」に変わっている——ここが分かれ目です。

Q3. これって、いままでの「属人化」と何が違うの?

これまでの属人化は「あの人しか知らない業務がある」という形が中心でした。今回のものは少し性質が違います。AIという"誰でも使える建前のツール"自体が、使い手によって新しい属人化を生むという逆説です。ツールを配れば全員が使えるようになる、という前提そのものが崩れる場面なので、旧来の属人化対策(マニュアル化)だけでは埋まりきらないことがあります。この整理は公的な統計にもとづくものではなく、Comaruが支援先の現場で繰り返し見てきた形を言葉にしたものです。会社によって出方は変わります。

1AIを使った作業の依頼が、特定の1人に集中している
2その人が休む・抜けると、AI関連の作業が止まる
3他の人は「使えない」のではなく、何をどう聞けばいいか分からずに止まっている

2つ以上に心当たりがあれば、注意が必要な段階。1つだけなら、まだ「得意な人がいる」の範囲内。

1「AIが使えるのは1人だけ」の状態に当てはまるかを確認するサイン。3つのうち2つ以上に心当たりがあれば、注意が必要な段階。

Q4. 放っておくと、何が困るの?

マル

別に今、うまく回ってるなら、それでよくない……?

タイガー

短期的にはね。でも困りごとは後から出てくる。その人が辞める・異動する・単純に休んだだけで、AIを使った作業全部が止まる。しかも本人は「自分が便利だからやっている」だけで、抱え込んでいる自覚が薄いことが多いんだ。

マル

自分では"独占してる"つもりなんてないのに?

タイガー

そう、そこが厄介なところ。悪気がないぶん、周りも本人も「そろそろ問題だ」と気づきにくいんだよ。

Q5. 抜け出す1つ目の手は? まず何をすればいい?

1つ目は、その人が抱え込んでいる作業を棚卸しすることです。 「AIで何をやっているか」を本人に聞くだけで構いません。議事録の要約、メールの下書き、資料のたたき台——具体的な作業名まで分解すると、次に何を渡せばいいかが見えてきます。ここを飛ばして「みんなAIを使おう」と号令をかけても、何を渡されているのか分からないまま終わります。

Q6. 2つ目の手は?

マル

棚卸しした後は、どうすればいいの?

タイガー

2つ目は、使い方を"見せる"場を作ること。 やり方を口頭で説明するだけだと、聞いた人の記憶にしか残らない。実際に打ち込んだ質問と、返ってきた答えをそのまま画面共有するとか、簡単なメモに残すとか、誰かの頭の中にしかない手順を、外に出すのが2つ目のポイントだよ。

マル

マニュアルを作る、ってこと?

タイガー

立派なマニュアルまでは要らない。むしろ最初は「この質問を、こう聞いたらこう返ってきた」の実例1つで十分。分厚い資料を作ろうとすると、それ自体が続かない原因になるからね。

Q7. 3つ目の手は?

3つ目は、一人だけに頼らない体制に変えること。 ポイントは「全員を使えるようにする」ことを最初から目指さないことです。まずは棚卸しした作業のうち1つを、もう1人に渡す。使える人を1人から2人に増やすところから始めれば、その2人目が3人目に教えられるようになります。最初から全社展開を狙うと、結局いちばん使える1人がまた巻き取ることになりがちです。

マル

2人目を選ぶとき、誰でもいいの?

タイガー

誰でもいいわけじゃないよ。「AIが苦手」より「今の作業が面倒だと感じている」人のほうがうまくいきやすい。面倒さを解決したい気持ちが、覚える動機になるからね。
1① 抱え込んでいる作業を棚卸しする
本人に「AIで何をやっているか」を聞いて、作業名まで分解する
2② 使い方を「見せる」場を作る
聞き方と返ってきた答えの実例を、画面共有かメモで外に出す
3③ 一人だけに頼らない体制に、まず1人ずつ増やす
全社展開を狙わず、棚卸しした作業のうち1つを次の1人に渡す

棚卸し→見える化→1人ずつ増やす、の順で進める。いきなり全員に広げようとしない。

2AIが使えるのが1人だけの状態から抜け出す3つの手。棚卸し→見える化→1人ずつ増やす、の順で進める。

Q8. 増やそうとしたのに、うまくいかないこともある?

マル

実は前にうちでも、詳しい人が他の人に教えようとしたことがあったんだけど、結局その人にまた仕事が戻ってきちゃったの……。

タイガー

よくあるパターンだね。原因は大体2つ。1つは、渡す作業がいきなり難しすぎたこと。もう1つは、教える側が"自分がやったほうが早い"で巻き取り直してしまうこと。

マル

じゃあ、どうすればよかったの?

タイガー

渡す作業は、Q5で棚卸しした中でもいちばん簡単なものから選ぶこと。それと、教える側には「多少遅くても、最初の数回は口を出さない」と決めてもらうこと。この2つを守るだけで、定着率はだいぶ変わるよ。

Q9. Comaruではどうしている?

マル

コマルは1人でやってるから、"AIが使えるのは1人だけ"なんて起きようがないんじゃない?

タイガー

形は違うけど、似た問題は起きるよ。ブログの記事づくりでAIを使うとき、質問の投げ方や直し方が自分の頭の中だけに残っていると、半年後の自分が同じ手順を思い出せない、ということが実際にあった。

マル

1人なのに、それって"未来の自分"に対する属人化ってこと?

タイガー

そのとおり。だから今は、うまくいった聞き方や直し方を記事として残す運用に変えている。人数が増えたときにそのまま使える形にもなるからね。

Q10. 今日、まず1つだけやるなら何をすればいい?

いちばん手をつけやすいのは、Q5の棚卸しです。特別な準備は要りません。AIを使うのがうまい人に、直近1週間で実際に投げた質問を3つだけ書き出してもらいましょう。その3つのうち、いちばん簡単そうなものを1つだけ選んで、次に渡す作業の候補にする。ここまでを今日中に済ませれば、明日以降の動き方が具体的に決まります。

10の質問を1枚で振り返る

  • 特定の1人にAI関連の依頼が集中し、その人が抜けると止まるなら注意サイン(Q1〜Q3)
  • 放置すると、本人に自覚がないまま業務が止まるリスクだけが積み上がる(Q4)
  • 抜け出す3つの手:①抱え込んでいる作業の棚卸し ②使い方を見せる場を作る ③一人だけに頼らない体制に、まず1人ずつ増やす(Q5〜Q7)
  • 渡す作業は簡単なものから、教える側は最初の数回口を出さないと決める(Q8)
  • 今日やるなら、直近1週間の質問を3つ書き出し、いちばん簡単なものを次に渡す候補にする(Q10)

まとめ:使える人が1人いることは、ゴールではなく途中経過

AIが使えるのは1人だけ、という状態は失敗ではありません。誰かが早く使いこなせるようになった、という意味では成功の証拠でもあります。問題になるのは、そこで止まってしまうことだけです。

抜け出す道筋は難しくありません。①その人が抱え込んでいる作業を洗い出す、②やり方を見える形にする、③まず1人だけ増やす——この順番を守れば、全社展開のような大がかりな計画を立てなくても、少しずつ広げていけます。

大がかりな研修や仕組みづくりから始める必要はありません。Comaruの実務でも、完璧な仕組みより「次の1人に渡せる形」を先に作ることを優先しています。今いちばん詳しい1人に、直近の質問を3つ書き出してもらうところから始めてみてください。

具体的な自動化の実例は属人化した業務を1つだけAIで楽にする、渡した後の使い方を記録に残す運用はAIで記事を「育て続ける」運用ループ、体制づくりの土台から整えたい方はAI導入は誰が担当する?にまとめています。

30分無料相談では、「うちのAI活用が特定の1人に偏っている気がする」「次に誰へ、何を渡せばいいか分からない」といった悩みを、実際の業務に合わせて一緒に整理できます。抱え込んでいる作業を洗い出すところから、お気軽にご相談ください。

この記事は、みなさんの“困る”を解決する猫の手「コマル」がお届けしました。 「うちの場合はどうなる?」は 30分無料相談 でどうぞ。