こんにちは、コマルです。先に結論を書きます。「AIで浮いた時間」を数字にするなら、いちばん信用されるのは地味で手間もかかる「作業時間の前後比較」です。逆に、いちばんよく見かけるのに、いちばん危ないのが、何も測らずに大きな数字だけを掲げる「測らない」というやり方です。今日は、時短効果を語るための4つの測り方を並べて、向き不向きと、ごまかしが入りやすいポイントを整理します。
「AI導入で年間500時間削減」「業務時間を50%削減」——検索すると、こういう見出しをよく見かけます。ただ、大きな数字を見たとき、「本当に?」と身構えたことはありませんか。理由ははっきりしています。比較の基準になる「導入前」の時間を、実際には計っていないことが多いからです。感覚で「だいたい3時間かかっていた気がする」と見積もった数字は、実際にストップウォッチで測った数字より大きく出がちです。根拠を聞かれて答えられない数字は、盛っていなくても盛って見えます。
大きく見せる数字には、だいたい共通の型があります。数字を出す前に、次の3つに当てはまっていないか確認してみてください。
- 比較の基準(導入前の時間)を決めていない
- いちばん効果が出た1回だけを取り上げている
- 性質の違う複数の作業をまとめて1つの数字にしている

マル

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①作業時間の前後比較——手間はかかるが、いちばん疑われにくい
同じ作業を、導入前後で実際に時間を計って比べる方法です。「見積書を1件作るのに、前は40分かかっていたが、AIに下書きを作らせるようになって15分になった」というように、特定の1つの作業に絞って比較します。
いちばんの弱点は、導入前に測っておく必要があることです。「そういえば時短できてるかも」と気づいてから慌てて測っても、比較する相手(導入前の時間)がもうありません。今から使い始める業務があるなら、使う前に一度、今の時間を計っておくのが安全です。
たとえば「見積書1件40分→15分」なら、月20件作るとして、単純計算で月8時間ほど浮いた計算になります。この「単純計算で」の一言を惜しまないことが、数字を信用してもらうコツです。

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②件数×単価——金額に換算できるが、単価の根拠がすべて
処理した件数に、1件あたりの単価(外注費や時給換算)をかけて、金額に換算する方法です。「問い合わせ対応1件を外注すると800円かかるところ、AIが月50件を肩代わりしたので4万円分」というように語れます。対外的な説明資料に向いています。
ただし、この方法は単価の決め方次第でいくらでも大きく見せられる、という弱点を持ちます。高めの外注単価を持ち出したり、「AIが少し関わった件数」まで丸ごと数えてしまったりすると、実態より大きな数字が簡単にできあがります。
件数を数えるときは、AIが最初から最後まで処理した件数だけを対象にするのが安全です。人が手直しした件数まで含めると、数字はふくらみますが根拠が弱くなります。

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③体感アンケート——数字にしにくい仕事に効くが、単独では弱い
「楽になったと感じるか」を、使っている本人に5段階などで聞く方法です。判断や調整が中心で時間を計りにくい業務や、定着しているかどうかを確かめたいときに向いています。
弱点は、聞き方次第で答えが誘導されやすいことです。上司が近くで見ている状態で「良くなりましたよね?」と聞けば、悪いとは言いにくいものです。単独の数字として使うより、①や②を補う「実感の裏付け」として添えるのが安全な使い方です。
聞くタイミングにも注意が要ります。導入直後の物珍しさがある時期に聞くと、実際の使い勝手より高めの評価が出やすくなります。1か月ほど使ってから聞くと、実感に近い数字になります。

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④測らない——実はいちばん多い。そしていちばん危ない
何も測らず、「かなり楽になった気がする」という印象だけで語る方法です。これは測り方というより「測っていない」状態ですが、実際にいちばんよく出会う型でもあります。
危ないのは、この印象がそのまま「年間◯◯時間削減」という具体的な数字に化けることです。根拠になる測定が1つもないまま数字だけが独り歩きすると、あとで「その数字の根拠は?」と聞かれたときに答えられません。
測らない型が多いのは、悪気があるからではありません。忙しい中で、いちばん手間がかからないから選ばれがちなだけです。だからこそ、忙しいときほど①の簡易版(時刻をメモするだけ)を使うのが現実的です。

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4つの測り方、使うときの前提
- ①作業時間の前後比較:導入前に一度計っておく(後からでは比較相手がない)
- ②件数×単価:単価の決め方を先に固定し、あとから変えない
- ③体感アンケート:単独では使わず、他の測り方の裏付けとして添える
- ④測らない:社内の感想にとどめ、外向けの数字としては使わない
あなたはこれ——状況別のおすすめ
補助金の申請や取引先への説明など、対外的に数字が要る場面では、①作業時間の前後比較を軸にして、必要なら②で金額換算を添えるのが手堅い進め方です。①は手間がかかりますが、聞かれたときに「この作業をこう計りました」とそのまま答えられる強さがあります。
判断や調整が中心で時間を計りにくい業務、あるいは社内での定着ぶりを見たい場合は、③体感アンケートを補助的に使います。単独の数字として押し出さず、①や②の結果に添える形にすると信頼度が上がります。
そして、まだ何も測っていない場合は、④のまま数字を語らないこと。焦って大きな数字を出す必要はありません。今からでも、直近で使い始めた1つの作業を①で計るところから始めれば十分です。次の3つのうち2つ以上に当てはまるなら、①を主軸にするのがおすすめです。
- 対外的な説明や申請に数字を使う予定がある
- 繰り返し行う定型作業がある
- 「いつ聞かれてもいいように」しておきたい
Comaruの実務ではこう測っている
一次情報として示せる統一基準があるわけではありませんが、Comaruでは記事執筆や経理入力など、日常的に繰り返す作業について、AIを使う前と後で作業時間をメモに残す、という簡単な①の運用をしています。厳密なストップウォッチ計測ではなく、開始と終了の時刻を記録する程度ですが、「体感」だけに頼るよりずっと説明しやすい数字になります。

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まとめ:数字は「測り方まで含めて」語る
「AIで浮いた時間」を語るとき、大事なのは数字の大きさではなく、その数字がどう測られたかを説明できるかです。①作業時間の前後比較はいちばん手堅く、②件数×単価は金額換算に向くぶん単価の根拠が問われ、③体感アンケートは補助として使うのが安全、④測らないまま数字だけを語るのがいちばん危険——この違いを知っているだけで、出す数字の説得力は変わります。
大きな数字を先に決めて、それに合う測り方を後から探すのは順番が逆です。まず測り方を決め、その結果として出てきた数字を、そのまま伝える。地味に見えて、これがいちばん胡散臭くならない進め方です。
最初の30日で何を確認するかは社内にAIを入れる最初の30日、まだ測る対象の業務が決まっていない場合は中小企業のAI活用、何から始めればいい?、小さく始めた実例は属人化した業務を1つだけAIで楽にする事例集にまとめています。
30分無料相談では、「うちの場合はどの測り方が向いているか」「今から始めるならどこから記録すればいいか」を、実際の業務に合わせて一緒に整理できます。数字の作り方に迷っている方は、お気軽にどうぞ。
この記事は、みなさんの“困る”を解決する猫の手「コマル」がお届けしました。 「うちの場合はどうなる?」は 30分無料相談 でどうぞ。
