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AI研修、何を教えれば現場は動くか——使い方だけでは足りない

こんにちは、コマルです。研修が終わったとき、参加者が「これなら自分の仕事で1つ試してみよう」と思えている状態——それが今日の到達点です。この5つの手順どおりに組めば、そこに届きます。

前回の「配って終わりにしていないか」では、ルールを配ったあとの分かれ目を整理しました。今回はその手前、研修そのものの中身の話です。「ChatGPTとは何か」「こう入力すると、こう返ってくる」——操作の説明だけで終わる研修は、実はとても多いです。でも操作が分かることと、現場が実際に使い始めることは別の話です。

その"足りない部分"は、操作の説明の流れの中には自然には出てきません。線引き・確認の習慣・詰まったときの相談先——この3つを、操作の説明とどう組み合わせるかが、今日のテーマです。

1
教材自社の実務から1つ選ぶツールの一般説明ではなく、今ある作業を教材にする
2
進め方座学ではなく、一緒にやってみせる説明を聞くだけの回にしない
3
線引き入れていい情報の境界を教える操作の説明と同じ回で、安全の話をセットにする
4
確認習慣出力をそのまま出さない練習をするその場で1回、実際に確認させてみる
5
相談先詰まったときの相談先を決めて共有する研修の最後に、部署名ではなく名前まで確定させる
1研修を組み立てる5つの手順。教材選びから相談先の共有まで、この順番で組む。

マル

前に一度、外部の研修を受けさせたことがあるんだけど、みんな「へえ〜」で終わって、誰も自分では使い始めなかったんだよね……。

タイガー

それ、すごくよくある話。操作を教えるだけの研修だと、そこで止まってしまうんだ。

マル

操作だけじゃダメって言われても、何を足せばいいのか、正直ピンとこないんだけど……。

タイガー

それを、次から1つずつ見ていくよ。まずは教材の選び方から。

ステップ1:教材は「自社の実務」から選ぶ

最初のつまずきは、教材選びで起きます。「ChatGPTとは」から入る一般的な説明は、聞いている側からすると「自分の仕事とは関係ない話」に聞こえてしまいます。

Comaruが自分の実務にAIを教え込んだときも、最初に選んだのは記事執筆でも経理でもなく、いちばん頻度が高くて、成果がすぐ分かる作業でした。教材は「よく使うツールの紹介」ではなく、「参加者が今日も明日もやる作業」から選びます。

タイガー

ここでよくつまずくのが、教材を"分かりやすさ"だけで選んでしまうこと。デモ用のきれいな例題は、聞いているときは分かった気になるけど、自分の仕事に置き換えられなくて終わる。教材は面白さより、参加者の実際の作業に近いかどうかで選ぶんだ。

マル

たしかに、デモの例って自分の仕事とは全然違うことが多いかも……。

マル

教材にできそうな作業が複数あるときは、どうやって1つに絞ればいいの?

タイガー

迷ったら、参加者が普段いちばん時間を使っている作業に絞るのが早い。凝った例より、平凡でよく出てくる作業のほうが、研修が終わったあとも自分で続けやすいんだ。

ステップ2:座学ではなく、一緒にやってみせる

説明を聞くだけの回にしないのが2つ目です。画面を見せながら、参加者の目の前で実際に動かして見せます。

1回の研修で扱う作業は1つに絞ります。欲張って2つ、3つと詰め込むと、どれも中途半端になり、結局「あとは自分で試してみてください」で丸投げすることになりがちです。

マル

説明資料を作って、順番に話していくのじゃダメなの?

タイガー

資料が悪いわけじゃないよ。でも「聞いた」と「自分でやった」の間には大きな差がある。Comaruが1人で使い方を身につけたときも、記事の下書きや見積りの文面を、実際に画面の前で1つ最後まで作りきる、を繰り返してから慣れていった。研修も同じで、説明を最後まで聞かせるより、1つの作業を最初から最後まで一緒にやりきるほうが残る。

タイガー

ここでのつまずきは、時間が足りなくて「あとは資料を見ておいてください」で締めてしまうこと。1回分は、1つの作業を最後まで一緒に終わらせられる分量に絞るのがコツだよ。

ステップ3:教える中身に「線引き」を必ず入れる

ここからが、操作の説明だけでは足りない部分です。何を入れていいか、何を入れてはいけないかを、同じ回で教えます。

現場は止まったまま操作だけを教えた研修使い方は分かるが、線引き・確認習慣・相談先が無く、不安なまま自分では試せない
現場が自分で動き出す4点セットまで教えた研修線引き・確認習慣・相談先があるので、迷った場面でも止まらずに進められる
2操作だけを教えた研修と、線引き・確認習慣・相談先まで教えた研修の違い。

操作を先に覚えると、便利さが先に立って、線引きは後回しになりがちです。会社の機密や、お客さんの個人情報をどこまで入れていいかは、「AIに入れていい情報はどこまで?」の3つの問いがそのまま教材になります。操作を教える回に、この線引きを一緒に組み込みます。

マル

操作の説明の途中で「これは入れちゃダメ」って言われると、話が止まっちゃう気がする……。

タイガー

むしろ、そこが分かれ目。操作を覚えたあとに別枠で「安全のルール」を教えても、実感が伴わずに右から左に流れやすい。"この作業のこの場面では、こう入れる。でもここは入れない"と、操作の実演の中で線を引くほうが、頭に残るんだ。

マル

操作の実演の途中で線引きの話をするの、ちょっと難しそう……。

タイガー

難しく考えなくていい。「ここは実際のお客さんの名前で試すけど、ここから先は仮の名前に置き換えるよ」と、実演しながら一言添えるだけで十分伝わるんだ。

ステップ4:「出力をそのまま出さない」を練習させる

AIが返してきた答えを、そのまま使わないという習慣も、操作とは別に教える必要があります。

確認する習慣は、研修のあとに「気をつけてね」と言うだけでは身につきません。研修の中で、実際に手を止めて確認する場面を、最低でも1回は作ります。

マル

AIの答えって、そんなに間違ってるものなの?

タイガー

間違っている、というより「確認しないまま出すと危ない」場面がある、という話。「ChatGPTの答えをそのまま出すとどんなリスクがあるか」で扱ったように、既存の文章に似すぎていたり、事実が古かったりすることがある。研修の中で、実際に1回、出てきた答えを声に出して確認させてみる——それだけで、確認する動きが体に入るよ。

タイガー

つまずきやすいのは、研修中に「良い答えが出た」で満足して終わってしまうこと。良い答えが出た瞬間こそ、「これ、どこを確認する?」と1人に聞いてみる。その1往復が練習になる。

ステップ5:詰まったときの相談先を、その場で決めて共有する

最後は、研修が終わったあとの受け皿です。研修の場で決めて、その場で共有します。

相談先が空欄のまま研修を終えると、詰まった人は自己判断で進めるか、そこで使うのをやめるかのどちらかを選びます。どちらも避けたい結果です。

マル

相談先って、研修が終わったあとに決めればいいんじゃないの?

タイガー

あとで決めようとすると、たいてい決まらないまま流れてしまう。研修の最後の5分で、「詰まったらこの人」を部署名ではなく名前で言い切るのがコツ。体制そのものの作り方は「AI導入は誰が担当する?」に詳しくまとめたよ。担当が決まっていない会社は、この研修の最後の5分を、体制を仮決めする時間にあててもいい。

研修を設計するとき、これだけは外さない

  • 教材は自社の実務から選ぶ。ツールの一般説明から入らない
  • 説明を聞かせるより、1つの作業を最後まで一緒にやりきる
  • 操作の実演の中で、入れていい情報の線引きを一緒に教える
  • 良い答えが出た瞬間に、確認する動きを1回練習させる
  • 研修の最後の5分で、相談先を名前まで決めて共有する

まとめ:使い方の説明で終わらせない

AI研修が現場を動かせないのは、たいてい教え方が下手だからではありません。使い方の説明だけで、線引き・確認習慣・相談先まで届いていないからです。この3つは、操作の説明とは別枠にすると、右から左に流れて残りません。同じ回の中に組み込んで、実演の中で一緒に体験させることが効きます。

教材選びに迷ったら、まずは頻度が高くて成果が分かりやすい1つの作業に絞ってください。完璧な研修を1回で作ろうとせず、5つの手順を最初はそのままなぞってみることをおすすめします。

研修は1回で完成させようとしなくて構いません。教材を変え、線引きを見直し、相談先を更新しながら、少しずつ育てていくものです。大事なのは、最初の1回に、この4つ——教材・線引き・確認習慣・相談先——を欠かさず入れることです。

最初の1つをどう選ぶかは「中小企業のAI活用、何から始めればいい?」、研修のあとにルールをどう維持するかは「社内ルールを配って終わりにしていないか」、体制そのものの作り方は「AI導入は誰が担当する?」にまとめています。出力の確認習慣を詳しく知りたい方は「ChatGPTの答えをそのまま出すとどんなリスクがあるか」もどうぞ。

30分無料相談では、今の業務のどこを教材にすればよいか、線引きと相談先をどう決めればよいかを、実際の現場に合わせて一緒に整理できます。研修を組む前の段階からでも、お気軽にご相談ください。

この記事は、みなさんの“困る”を解決する猫の手「コマル」がお届けしました。 「うちの場合はどうなる?」は 30分無料相談 でどうぞ。