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AIを使った記録、どこまで残せばいい?中小企業向けの現実解

こんにちは、コマルです。「AIを使ったこと、記録しておいた方がいいの?」という相談が、最近増えています。全部を几帳面に残すのは正直しんどいし、かといって何も残さないのも心配。結論から言うと、残す量は業務によって変えていいんです。次のチャートで、あなたが今気にしている業務がどのレベルに当たるかをたどれます。

AIを使ったこの業務記録はどこまで残すか

Q1 結果を、お客様・取引先・行政などの外部にそのまま出すか

社内限定の下書き・自分用の要約・雑務のメモか

いいえ→レベル1

記録なしでよい

社内で完結する下書き・雑務のメモなど

はい

次の問いへ

Q2 個人情報・会社の機密、お金や契約に関わる内容を扱うか

顧客の氏名・連絡先・契約金額・未公開情報など

いいえ→レベル2

簡易記録でよい

日付・用途・使った人を一行残す

はい

次の問いへ

Q3 採用・与信・医療・法律など、人の権利や安全に大きく影響する判断か

人の人生や重要な意思決定に関わる用途か

いいえ→レベル2

簡易記録でよい

Q2と同じ、一行記録で足りる

はい

レベル3 しっかり記録する

入力の要旨・出力・チェックした人と結果・保存期間まで残す

1AIを使った業務の記録、どこまで残すかの判断チャート。外部に出るか・重要な情報や判断を含むかで3段階に分かれる。

マル

全部同じレベルで残すんじゃなくて、業務ごとに変えていいんだ。

タイガー

そう。大事なのは量じゃなくてメリハリ。全部を厚く残そうとするから、疲れて続かなくなるんだ。順番に見ていこう。

Q1:この記録、そもそも外に出るのか

最初の分かれ道は、AIを使った結果を誰が見るかです。社内限定の議事録の下書き、自分用の要約、日々の雑務のメモ——これらは記録が無くても、大きな問題にはなりません。書いた本人が困るだけで、他人に影響が及ばないからです。一方で、お客様に出す提案書や、取引先・行政に提出する書類の下ごしらえにAIを使ったなら、話は変わります。外部の目に触れるものは、後から「どう作ったか」を説明できる状態にしておく方が安全です。

  • レベル1の例:会議メモの下書き、社内チャット文面の言い換え、自分用の調べもの
  • 次に進む例:お客様向け提案書の下ごしらえ、行政への提出書類の文面案

マル

「一応社内で見せる資料」くらいのグレーな場合は?

タイガー

迷ったら「外に出る」側で考えるのが安全。社内資料でも、経営判断や人事に関わるなら次の問いに進んだ方がいいね。

レベル1(記録なしでよい)の目安

  • 社内限定の下書き・自分用の要約・雑務のメモ
  • 結果がそのまま外部(顧客・取引先・行政)に出ない
  • 迷ったら「外に出る」側として扱う

Q2:個人情報・機密・お金が絡むか

外部に出るものだからといって、すべてを厚く記録する必要はありません。次の分かれ目は、個人情報や会社の機密、お金・契約に関わる内容を扱っているかどうかです。含まないなら、残すのは「いつ・何に使ったか・誰が使ったか」の一行だけで十分。日付、業務名、担当者名の3項目を、表計算ソフトの1行に書けば足ります。

マル

それなら続けられそう。エクセルの1行で足りるくらい?

タイガー

それで十分。逆に、顧客の個人情報や契約金額、まだ公開していない情報を扱っているなら、次の問いに進むよ。

レベル2(簡易記録)の目安

  • 個人情報・機密情報・お金や契約に関わる内容を含まない
  • 残すのは「日付・用途・使った人」の一行だけ
  • 表計算ソフトの1行で足りる粒度

Q3:人の権利や安全に関わる重要な判断か——なぜここまでやるのか

個人情報や機密が絡む時点でレベル2以上は必要ですが、採用選考・与信審査・医療的な判断・法律に関わる判断など、人の権利や安全に大きく影響する用途では、さらに一段厚いレベル3が要ります。入力の要旨・出力・チェックした人と結果・保存期間まで残す段階です。根拠は、経済産業省・総務省が2026年3月に改定した「AI事業者ガイドライン」(第1.2版)です。このガイドラインは、AIの判断について後から検証できるようにするため、開発から利用までの過程を記録・保存することを事業者に求めています。

データの出所、AIシステム・サービスの開発・提供・利用中に行われた意思決定等について、技術的に可能かつ合理的な範囲で追跡・遡求が可能な状態を確保する

ポイントは「技術的に可能かつ合理的な範囲で」という条件つきであることです。データの量や内容、その判断の重要度に照らして決めればよく、全業務を一律に厚く記録することまでは求めていません。

マル

急に本格的になった……。うちみたいな小さい会社でも、そこまでやるものなの?

タイガー

正直、多くの中小企業がここまで踏み込む場面は多くない。でも、採用や与信のように人の人生に関わる判断にAIを使うなら別。「合理的な範囲」が指しているのは、まさにこういう場面なんだ。

レベル3(しっかり記録)の目安

  • 採用・与信・医療・法律など、人の権利や安全に大きく影響する判断
  • 入力の要旨・出力・チェックした人と結果・保存期間まで残す
  • 迷ったら専門家に確認しながら基準を決める

3つの問いの答えをまとめると、実際に残す項目はこう変わります。

レベル1
記録なし
レベル2
簡易記録
レベル3
しっかり記録
日付・用途・使った人
×
入力した内容の要旨
×
×
出力そのもの
×
×
チェックした人・結果
×
×
保存期間の目安
×
×

レベル1・2でも、迷ったときに備えて何に使ったかを一言メモしておくと安心です。

2記録レベル1〜3ごとに、実際に残す項目の一覧。レベルが上がるほど、残す項目が増える。

例外——チャートより優先されること

このチャートには、2つだけ例外があります。1つ目は、情報漏洩に気づいたときです。レベルに関係なく、すぐに何が起きたかを記録するのが先決になります。平常時のレベル分けは「これから」の話ですが、事故は「起きてしまった後」の話なので、優先順位が逆転します。2つ目は、医療・金融など、業法ですでに記録の保存期間が決まっている業務です。その基準がこのチャートより厳しければ、当然そちらが優先されます。

マル

情報漏洩に気づいたときは、どうすればいいの?

タイガー

手順はAIに情報を入れてしまった、と気づいたら最初にやることにまとめてあるよ。まずは落ち着いて、何が起きたかを記録することが最初の一歩だね。

Comaruの実務ではこう判断している

Comaruでは、記事の下書きや調べものはレベル1で運用し、記録は残していません。一方、お客様の案件に関わる相談は、固有名詞を記号に置き換えたうえでレベル2として扱い、「日付・案件名・使ったAI」だけを表計算ソフトに一行残しています。

採用や与信のような判断に関わる案件は今のところ受けていませんが、依頼が来たらレベル3の運用を先に決めてから着手する方針です。業務を受ける前にレベルを決めておけば、案件の途中で「これ、記録いるんだっけ」と迷う場面自体が無くなります。

マル

それって毎回、今どのレベルか考えてるの?

タイガー

最初だけ考えて、あとは業務の種類ごとに「これはレベル2」と決め打ちしているよ。毎回チャートをたどっていたら、それはそれで疲れるからね。

まとめ:全部残すのではなく「レベルを選ぶ」

AIを使った記録は、多いほど安全というものではありません。外に出るか、個人情報や機密・お金が絡むか、人の権利や安全に大きく影響する判断かで、必要な記録の厚みは変わります。

多くの中小企業の日常業務は、レベル1かレベル2で十分足ります。全部を厚く記録しようとして続かなくなるより、業務ごとに「これはレベル◯」と先に決めてしまう方が、結局は長く続きます。国のガイドラインも「合理的な範囲で」と言っているとおり、過不足のない量を選ぶのが現実解です。

記録の前提になる、入れていい情報の線引きはAIに入れていい情報はどこまで?、最低限のルールを1枚にまとめる手順は小さな会社の生成AIルールにまとめています。記録を残す仕組みは、使う人を把握することにもつながります。隠れて使われるAIへの向き合い方は社員が勝手に使うAI(シャドーAI)に、禁止以外で向き合うを参考にしてください。

30分無料相談では、「うちの業務だと、どのレベルの記録が要るか」を、実際の使いどころに合わせて一緒に整理できます。記録のルールづくりから始めたい方は、お気軽にどうぞ。


参考(一次情報):AI事業者ガイドライン(第1.2版)本編(総務省・経済産業省、令和8年3月31日公表・PDF)総務省「AI事業者ガイドライン」掲載ページ

※本記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。ガイドラインは改定されることがあるため、実際の運用にあたっては最新の公表情報をご確認いただくか、専門家にご相談ください。

この記事は、みなさんの“困る”を解決する猫の手「コマル」がお届けしました。 「うちの場合はどうなる?」は 30分無料相談 でどうぞ。